この記事では、2004年から20年間一度も退場することなく勝ち抜いてきた兼業トレーダーである私が、"ドル円"を題材にFXの分析方法やリスク管理、マインドなどを紹介しています。
FXで利益を出すにはどうしたらいいのかとお悩みの方に、少しでも参考にしていただけたら幸いです。
それでは、今週も週末にしっかりと振り返りをしてトレードスキルを向上させましょう。
- P&Fを主軸としたテクニカル分析を通して、損切りと利確の基準が分かるようになる。
- FXとちょうどいい距離感で生活できるようになる。
- FXで成功している人の相場との向き合い方を知ることができる。
私が実践している戦略構築ステップは、こちらの記事で紹介していますので、初めての方はぜひ一度ご覧ください。

STEP1:ファンダメンタル観点での分析
それでは、ドル円の「週間相場予想&トレード戦略構築」を一緒にやっていきましょう。
STEP1は、ファンダメンタル関連の情報をチェックして、マーケット状況や投資家の注目トピックなどを把握します。
今週の注目経済指標&イベント結果
1/23-24_日銀、0.5%への利上げ決定 見通し実現の確度「高まってきている」

日銀は23―24日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%に引き上げることを賛成多数で決めた。利上げは昨年7月以来半年ぶりで、政策金利は2008年10月以来の高水準となった。
日銀は声明で、経済・物価が展望リポートで示してきた見通しにおおむね沿って推移し、基調的な物価上昇率が見通し期間後半に物価目標とおおむね整合的な水準になるなどの見通しが実現する確度が「高まってきている」とした。
利上げの決定は8対1。中村豊明委員は、法人企業統計などで企業の「稼ぐ力」が高まったことを確認した上で次回の決定会合で政策変更を判断すべきだとして反対した。
日銀当座預金の超過準備への付利は0.5%に引き上げる。補完貸付制度における基準貸付利率も0.25%ポイント引き上げて0.75%とすることを決めた。いずれも27日から適用する。
日銀は声明で、経済は「一部に弱めの動きも見られるが、緩やかに回復している」として従来の判断を維持。賃金については、企業収益が改善傾向を続け、人手不足感が強まる下で、今年の春闘では「昨年に続きしっかりとした賃上げを実施するといった声が多く聞かれている」と指摘した。
ロイター
1/24_見通し実現していけば「引き続き利上げ」、物価予想上方修正=日銀展望リポート

日銀は24日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、現在の実質金利が「極めて低い水準にある」との認識を示し、今回示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えを示した。
日銀は23─24日に開催した金融政策決定会合で利上げを決めた もっと見る 。展望リポートでは、引き続き2%の「物価安定の目標」のもと、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していくとした。
同リポートでは、2024年度から26年度にかけて消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)の前年度比上昇率見通しをそれぞれ引き上げた。物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には物価安定目標とおおむね整合的な水準で推移するとの見方を示した。
見通しに対するリスク要因として、海外の経済・物価や資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動などを挙げ、不確実性は「引き続き高い」との見方を示した。このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化し、以前と比べて為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっているとも指摘した。
ロイター
1/24_今後も見通し実現なら利上げ、ペースや時期は経済・物価次第=日銀総裁

日銀の植田和男総裁は24日、金融政策決定会合後の会見で「現在の実質金利は極めて低い水準にある」との認識を示し、今後も日銀の経済・物価見通しが実現していけば、それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことに変わりはないと述べた。調整のペースやタイミングは経済・物価情勢次第であり、予断は持っていないと語った。
日銀は今回の会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%に引き上げることを賛成多数で決めた もっと見る 。
総裁は利上げを決定したことについて「日本の経済・物価はこれまで示してきた見通しにおおむね沿って推移しており、先行き見通しが実現していく確度は高まってきていると判断した」と説明した。
判断の重要なポイントとして挙げていた春季労使交渉(春闘)の動向については、今年も賃上げを継続するという企業の声が増加しているほか、支店長会議で継続的な賃上げが必要との認識が幅広い業種、規模の企業に浸透してきているという報告があったと指摘。「昨年に続きしっかりとした賃上げの実施が見込まれると判断した」という。
もう一つのポイントだった米新政権の政策動向についても、トランプ大統領が政策の方向性を示す中で国際金融市場は全体として落ち着いており、利上げを妨げる材料にはならなかったと説明した。
今後トランプ政権が実際に関税を引き上げたり、当該国が報復措置をとったりした場合、インフレ率や世界経済にさまざまな影響が考えられるものの、「現状では関税の規模や広がりについて非常に不確実性が高い、決まっていない段階だ」と指摘。それがある程度固まったら経済・物価見通しなどに反映し、政策運営に生かしていきたいと語った。
植田総裁は、今回の利上げ後も実質金利は大幅なマイナスが続くことになると説明。「緩和的な金融環境は維持され、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている」と語った。
日銀の推計によると、中立金利は名目で1―2.5%の間に分布していると指摘し、「0.5%という金利水準はまだ距離ある」との見方を示した。
ロイター
先週発表された日銀金融政策決定会合の結果は、市場予想通りの追加利上げ実施となりました。事前報道の影響もあってか、そこまで大きな混乱にはなっていないようです。
注目経済指標&イベント
来週はFOMCが予定されています。今回は金利据え置きが確実視されていますので、ほぼ間違いないと思われます。市場の関心は今後の利上げ時期に移行していますので、パウエル議長の定例記者会見には注目です。
日付 | 時間 | 経済指標・イベント | 予想 |
---|---|---|---|
1/29(水) | 28:00 | (米)米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表 | 4.25-4.50% |
28:30 | (米)パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見 | ー | |
1/30(木) | 22:30 | (米)10-12月期四半期実質国内総生産(GDP、速報値)(前期比年率) | 2.6% |
1/31(金) | 22:30 | (米)12月個人消費支出(PCE)(前月比) | 0.5% |
22:30 | (米)12月個人消費支出(PCEデフレーター)(前年同月比) | 2.5% | |
22:30 | (米)12月個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く)(前月比) | 0.2% | |
22:30 | (米)12月個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く)(前年同月比) | 2.8% |
また、今は投資家の注目が米経済の行方に集まっています。上の表には載せていない経済指標でも結果次第では大きく変動する可能性がありますので、以下のようなサイトで情報を入手しておきましょう。

経済メディアではインフレの落ち着く時期やFRB利下げ転換時期等について、経済学者などの著名人がもっともらしい見解を述べています。しかし、こうした経済のプロフェッショナルでさえ、未来がどうなるのかは誰にも分かりません。
こうした著名人の発言を鵜呑みにして、トレードを実行してしまう方が多いのですが、私はおすすめしません。
少し極端な表現ですが、投資の世界で最終的に信じられるのは自分だけです。この世界で長く生き残るためには、自分で相場の動向をいち早く察知して、その流れに付いていくことしかないと思っています。そして、そのためにはテクニカル分析と適度な情報収集を継続的に行う必要があります。
テクニカル分析の方法については、このブログで定期的にお伝えしていきますので、共感いただける方は、ぜひ一緒にやっていきましょう。
日米長期金利差とドル円の相関性
次に、参考程度ですが日米長期金利差とドル円の相関性を見ていきます。以下のチャートをご覧ください。
直近20日間の日米金利差とドル円のCC(相関係数)は"-0.60"ということで、やや逆相関の関係にあるようです。
現在、市場の注目は日米の長期金利の行方に集まっていますが、日々の報道を鵜呑みにせず、自分でも定期的にチャートをチェックして客観的に評価していくようにしましょう。
FRB利下げ予想時期
CMEのFedWatchツールによると、次回1月FOMCでは据え置きが"97.9%"と確実視されているようですね。

次々回3月のFOMCでは利下げを予想する割合は、3割弱に減少しています。

5月のFOMCで利下げを予想する割合で、ようやく4割強となっていますね。

以上で、ファンダメンタル観点での状況把握ができましたね。今週のファンダメンタル要素が、現在のドル円相場にどのような影響を及ぼしているのか。その辺りは、次章からのテクニカル分析を通してみてみましょう。
FXで利益を上げたいなら、投資先の経済や政治に関する情勢を理解することが重要。経済ニュース等から情報収集し、自分なりの解釈を記録していきましょう。「円売りが当面続く」といった簡単な記録でも構いません。
ただ、経済情報は無数にありますので、収集しすぎれば良いというものでもなく、長期間継続することが大事ですので、ご自身の負担にならない程度に続けてみてください。
私たち個人投資家は、生活を豊かにするための"資産"が欲しいのであって、"経済のプロ"になりたいわけではないという方が大半かと思いますので、大まかな状況が分かれば十分です。
STEP2:今週の相場予想とトレード戦略の評価
さて、ファンダメンタル観点で状況を押さえた後は、テクニカル観点で相場を捉えていきましょう。
まずは、今週の相場予想とトレード戦略を振り返りです。
今週は予想レンジを「155.2円〜158.3円」に設定、目線は円安とし、具体的な注目ポイントとしては、下表の通りとしていましたね。
レート | 根拠 |
---|---|
163.5-9円 | 長期P&F円安目標値(水平C) |
158.2-3円 | 中期P&Fレジスタンス |
157.9円 | 短期P&Fレジスタンス |
156.6円 | 短期P&F前回円高目標値 |
レート | 根拠 |
---|---|
155.2-3円 | 中期P&Fサポート |
155.2円 | 短期P&Fサポート |
150.0-4円 | 長期P&Fサポート |
結果としては、今週は1/20,21の展開により短期チャートと中期チャートのレジスタンスが156.2円付近に更新。さらに1/22の展開によりレジスタンスを上抜ける展開となり、両チャートでは円安シグナルが点灯しました。
トレードに関しては、上記の円安シグナル点灯に伴い、156.2円で新規買い指値を行い、約定済みとなっています。現在、156.0円(長期・水平C)で構築した買いポジションとともに保持して様子見している状況です。
なお、日々の具体的なトレード戦略は値動きに合わせて調整を行っています。日々のトレード戦略は当ブログで毎日公開していますので、よろしければ毎朝ご覧ください。
では、来週のドル円相場予想とトレード戦略を考えていきましょう。私の場合は、"P&F(ポイント&フィギュア)"を主軸テクニカルに使用しています。現在のボラリティ状況から、長期は「1枠50銭」、中期は「1枠20銭」、短期は「1枠:10銭」を採用しています。
それでは長期チャートから順番に見ていきましょう。
STEP3:テクニカル観点での長期トレンド分析
P&F0.5チャートは、今週の値動きによる変化点はありません。現在も水平カウンティングによる円安シグナルは点灯しており、円安目標値は163.5円付近となっています。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | 円安 | 163.5-9円 | 158.0-4円 | 150.0-4円 |
垂直 | なし | ー |
STEP4:テクニカル観点での中期トレンド分析
P&F0.2チャートは、1/22の値動きにより円安シグナルが点灯。円安目標値は158円付近となっています。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | 円安 | 158.0-1円 | ー | 155.6-7円 |
垂直 | ー | ー |
STEP5:テクニカル観点での短期トレンド分析
P&F0.1チャートは1/22の値動きにより円安シグナルが点灯。円安目標値は157.1円付近となっています。(なお、リスクリワード1としたときの逆指値ポイントに到達してしまってます。)
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | 円安 | 157.1円 | 156.5円 | 155.5円 |
垂直 | なし | ー |
- テクニカル分析は、長期から短期の順に進めていくことをおすすめします。
- 短期トレンドに対しては順張りでも、長期トレンドに対しては逆張りという場面が多々あります。
短期・中期・長期の全てが同じトレンドであった場合は強気、逆行している場合には弱気とするなど、
状況に合わせてポジション量をコントロールすることが大切です。 - 複数のテクニカル指標を用いて分析する場合、それぞれのテクニカル分析結果の方向が分かれた際の方針を決めておくとトレードが安定するのでおすすめです。
私の場合、トレードは主軸とするテクニカルに従うこととし、方向性の分かれ具合に応じて取引量を調整することにしています。
週初時点のP&Fまとめ
チャート | シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|---|
長期P&F | 水平 | 円安 | 163.5-9円 | 158.0-4円 | 150.0-4円 |
垂直 | なし | ー | |||
中期P&F | 水平 | 円安 | 158.0-1円 | ー | 155.6-7円 |
垂直 | なし | ー | |||
短期P&F | 水平 | 円安 | 157.1円 | 156.5円 | 155.5円 |
垂直 | なし | ー |
STEP6:トレード方針の決定
来週のトレード方針
現在、すべてのチャートで水平Cによる円安シグナルが点灯中となっていますので、目線は円安で行きたいと思います。直近の具体的な注目ポイントは下表の通りです。
レート | 根拠 |
---|---|
163.5-9円 | 長期P&F円安目標値(水平C) |
158.0-1円 | 中期P&F円安目標値(水平C) |
157.1円 | 短期P&F円安目標値(水平C) |
156.5円 | 短期P&Fレジスタンス |
レート | 根拠 |
---|---|
155.2-3円 | 中期P&Fサポート |
155.2円 | 短期P&Fサポート |
154.8円 | 日足50MA |
150.0-4円 | 長期P&Fサポート |
トレードに関しては、現在156.0円(長期・水平C)と156.2円(中期・)で構築した買いポジションを保持していますが、このまま様子見しようと思います。
以上、私の来週のドル円相場予想&トレード戦略構築でしたが、みなさんも来週のトレード戦略を立てられましたか?
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