この記事では、2004年から20年間一度も退場することなく勝ち抜いてきた兼業トレーダーである私が、"ドル円"を題材にFXの分析方法やリスク管理、マインドなどを紹介しています。
FXで利益を出すにはどうしたらいいのかとお悩みの方に、少しでも参考にしていただけたら幸いです。
それでは、今週も週末にしっかりと振り返りをしてトレードスキルを向上させましょう。
- P&Fを主軸としたテクニカル分析を通して、損切りと利確の基準が分かるようになる。
- FXとちょうどいい距離感で生活できるようになる。
- FXで成功している人の相場との向き合い方を知ることができる。
私が実践している戦略構築ステップは、こちらの記事で紹介していますので、初めての方はぜひ一度ご覧ください。

STEP1:ファンダメンタル観点での分析
それでは、ドル円の「週間相場予想&トレード戦略構築」を一緒にやっていきましょう。
STEP1は、ファンダメンタル関連の情報をチェックして、マーケット状況や投資家の注目トピックなどを把握します。
今週の注目経済指標&イベント結果
8/13_米7月PPI、前月比+0.1%と予想下回る 9月利下げ観測後押し

米労働省が13日発表した7月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比(季節調整済み)0.1%上昇した。伸びは前月の0.2%から鈍化。インフレ圧力が引き続き緩やかになっていることが示されたことで、米連邦準備理事会(FRB)が来月の会合で利下げを決定するとの観測が一段と高まった。
前年比では2.2%上昇。前月は2.7%上昇していた。モノ(財)の価格上昇がサービス価格の低下で相殺されたことで伸びが鈍化した。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は前月比が0.2%上昇、前年比が2.3%上昇だった。
<9月利下げ観測を後押し>
食品とエネルギー、貿易サービス部門を除いたコア指数は0.3%上昇。6月は0.1%小幅上昇だった。前年同月比では3.3%上昇。6月は3.2%上昇だった。
今回のPPI統計では、FRBがインフレ指標として注視している個人消費支出(PCE)価格指数の算出に利用される多くの項目で良好な数値が示された。物価上昇が緩和する中、FRBは物価安定よりも労働市場を一段と注視して政策運営を実施できるとみられる。
ロイター
8/14_米CPI、7月は前年比2.9%上昇 約3年半ぶりに3%割れ

米労働省が14日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は、前月比0.2%上昇し、6月の0.1%低下から反転した。前年比では2.9%上昇し、伸びは前月の3.0%から鈍化。前年比上昇率は2021年3月以来、初めて3%を下回った。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は、前月比0.2%上昇、前年比3.0%上昇だった。
変動の大きい食品とエネルギー成分を除くコアCPIは前月比0.2%上昇。6月は0.1%上昇していた。前年比では3.2%上昇と、伸びは前月の3.3%から縮小し、21年4月以来の低水準となった。
エコノミスト予想は前月比が0.2%上昇、前年比が3.2%上昇だった。
<9月の0.25%ポイント利下げ観測高まる>
前日に発表された7月の卸売物価指数(PPI)も伸びが鈍化。インフレが確実に下降傾向に戻ったことが示唆された。 もっと見る
米連邦準備理事会(FRB)が来月に利下げを実施するとの観測に変わりはないが、インフレ率はFRBが目標とする2%をなお上回っているため、労働市場が悪化しない限り、9月に0.50%ポイントの大幅利下げが決定される公算は小さいとみられている。
ロイター
8/15_米小売売上高、7月予想を上回る+1.0% コア+0.3%

米商務省が15日発表した7月の小売売上高(季節調整済み)は前月比1.0%増加した。エコノミスト予想の0.3%増を上回り、景気急減速の懸念を和らげた。
6月は0.2%減と前回発表の横ばいから下方修正された。
自動車、ガソリン、建築資材、食品サービスを除く小売売上高は0.3%増、前月は0.9%増で改定されなかった。
前年同月比では2.7%増加した。消費者はバーゲン品を探したり、より安価な代替品に乗り換えたりすることで支出を維持している。
自動車・同部品の売上高は3.6%増となり、6月の3.4%減から回復した。6月の減少は自動車ディーラーやメーカーにソフトウエアを提供する米CDKグローバルへのサイバー攻撃が要因とされる。
オンライン売上高は6月の2.2%増に続き、0.2%増加した。ガソリンスタンドは0.1%増加。建築資材・園芸用品店は0.9%増加した。
サービス部門として小売統計に唯一含まれる飲食店は0.3%上昇した。6月は0.1%増だった。
ロイター
今週前半に発表された米PPIおよび米CPIは、いずれも市場予想を下回ったことで、FRBが利下げを急ぐとの観測が強まりました。しかし、木曜日に発表された米小売売上高が市場予想を上回る堅調な内容だったため、景気急減速の懸念を和らぎ、米長期金利の上昇とともに円売りが優勢となったようです。
注目経済指標&イベント
来週の注目経済指標を選定して掲載しました。来週の注目経済指標は少なめですが、FOMC議事要旨や米PMI、パウエル議長発言には注目です。また、今は投資家の注目が米経済の行方に集まっていますので、下表には載せていない経済指標でも結果によっては大きく変動する可能性がありそうですので、以下のようなサイトで情報を入手しておきましょう。

日付 | 時間 | 経済指標・イベント | 予想 |
---|---|---|---|
8/21(水) | 27:00 | (米)米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 | ー |
8/22(木) | 22:45 | (米)8月製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値) | 前回49.6 |
(米)8月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値) | 前回55.0 | ||
(米)8月総合購買担当者景気指数(PMI、速報値) | 前回54.3 | ||
8/23(金) | 8:50 | (日)7月全国消費者物価指数(CPI)(前年同月比) | 2.7% |
(日)7月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)(前年同月比) | 2.7% | ||
(日)7月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品・エネルギー除く)(前年同月比) | 1.9% | ||
23:00 | (米)7月新築住宅販売件数(年率換算件数) | 63.1万件 | |
(米)7月新築住宅販売件数(前月比) | 2.3% | ||
(米)パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言 | ー |
経済メディアではインフレの落ち着く時期やFRB利下げ転換時期等について、経済学者などの著名人がもっともらしい見解を述べています。しかし、こうした経済のプロフェッショナルでさえ、未来がどうなるのかは誰にも分かりません。
こうした著名人の発言を鵜呑みにして、トレードを実行してしまう方が多いのですが、私はおすすめしません。
少し極端な表現ですが、投資の世界で最終的に信じられるのは自分だけです。この世界で長く生き残るためには、自分で相場の動向をいち早く察知して、その流れに付いていくことしかないと思っています。そして、そのためにはテクニカル分析と適度な情報収集を継続的に行う必要があります。
テクニカル分析の方法については、このブログで定期的にお伝えしていきますので、共感いただける方は、ぜひ一緒にやっていきましょう。
日米長期金利差とドル円の相関性
次に、参考程度ですが日米長期金利差とドル円の相関性を見ていきます。以下のチャートをご覧ください。
直近20日間の日米金利差とドル円のCC(相関係数)は"0.47"ということで、やや相関関係にあるようです。
現在、市場の注目は米長期金利の行方に集まっていますが、日々の報道を鵜呑みにせず、自分でも定期的にチャートをチェックして客観的に評価していくようにしましょう。
ちなみに、日米金利差は昨年10月ごろの初旬のピーク時に比べて、だいぶ低下してきましたね。
FRB利下げ予想時期
最新の市場参加者のFRB利下げ予想時期は、CMEのFedWatch ツールによると、9月FOMCが"100%"を維持していますが、0.5%の確率は"49%"から"25%"に低下しています。
なお、12月時点での米長期金利は、4.5〜4.75%と予想している参加者が27.0%から42.8%に上昇し、4.25〜4.5%と予想している参加者が46.2%から42.5%に低下しています。
以上で、ファンダメンタル観点での状況把握ができましたね。今週のファンダメンタル要素が、現在のドル円相場にどのような影響を及ぼしているのか。その辺りは、次章からのテクニカル分析を通してみてみましょう。
FXで利益を上げたいなら、投資先の経済や政治に関する情勢を理解することが重要。経済ニュース等から情報収集し、自分なりの解釈を記録していきましょう。「円売りが当面続く」といった簡単な記録でも構いません。
ただ、経済情報は無数にありますので、収集しすぎれば良いというものでもなく、長期間継続することが大事ですので、ご自身の負担にならない程度に続けてみてください。
私たち個人投資家は、生活を豊かにするための"資産"が欲しいのであって、"経済のプロ"になりたいわけではないという方が大半かと思いますので、大まかな状況が分かれば十分です。
STEP2:今週の相場予想とトレード戦略の評価
さて、ファンダメンタル観点で状況を押さえた後はテクニカル観点で相場を捉えていきましょう。
まずは、今週の相場予想とトレード戦略を振り返りたいと思います。
今週は予想レンジを「142.2円〜147.1円」に設定、目線は中立としました。そして、直近の具体的な注目ポイントは、円安方向が短期P&Fレジスタンス「147.1円付近」、円高方向が短期・中期P&Fサポート「144.2円付近」を挙げていましたね。
結果としては、NY終値基準ですと水曜日までは147.1円付近での推移となりましたが、木曜日に米小売売上高の結果を受けて同水準を上抜けると、一時149.4円付近まで円安が進展しました。その後、金曜日は反落して147.5円付近で引けています。
なお、日々の具体的なトレード戦略は値動きに合わせて調整を行っています。日々のトレード戦略は当ブログで毎日公開していますので、よろしければ毎朝ご覧ください。
では、来週のドル円相場予想とトレード戦略を考えていきましょう。私の場合は、"P&F(ポイント&フィギュア)"を主軸テクニカルに使用しています。現在のボラリティ状況から、長期は「1枠50銭」、中期は「1枠20銭」、短期は「1枠:10銭」を採用しています。
それでは長期チャートから順番に見ていきましょう。
STEP3:テクニカル観点での長期トレンド分析
P&F0.5チャートは、今週の値動きにより×枠が4枠増えましたが、シグナル点灯待ちの状況に変わりません。
シグナル点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|
なし | ー | 161.5~9円 | 144.5~9円 |
STEP4:テクニカル観点での中期トレンド分析
P&F0.2チャートは、今週の値動きにより○枠の折り返し列が形成され、149.2円付近がレジスタンスになりましたね。
シグナル点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|
なし | ー | 149.2~3円 | 144.2~3円 |
STEP5:テクニカル観点での短期トレンド分析
今週P&F0.1チャートは、今週の値動きにより大きく変化しましたね。
まず、水平カウンティングによる円安シグナルはすでに目標値に到達済となり、現在は垂直カウンティングによる円安シグナルが点灯中です。ただ、こちらは目標値149.5円まであと10銭のところまで接近したところで反落しています。この10銭という差を誤差と考えて目標値到達とみるかどうか、見方が分かれそうな状況です。また、中期チャートと同様に149.2円付近がレジスタンスになっています。
シグナル点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|
なし | ー | 149.2円 | 144.2円 |
- テクニカル分析は、長期から短期の順に進めていくことをおすすめします。
- 短期トレンドに対しては順張りでも、長期トレンドに対しては逆張りという場面が多々あります。
短期・中期・長期の全てが同じトレンドであった場合は強気、逆行している場合には弱気とするなど、
状況に合わせてポジション量をコントロールすることが大切です。 - 複数のテクニカル指標を用いて分析する場合、それぞれのテクニカル分析結果の方向が分かれた際の方針を決めておくとトレードが安定するのでおすすめです。
私の場合、トレードは主軸とするテクニカルに従うこととし、方向性の分かれ具合に応じて取引量を調整することにしています。
週初時点のP&Fまとめ
チャート | シグナル | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
長期P&F | なし | ー | 161.5~9円 | 144.5~9円 |
中期P&F | なし | ー | 149.2~3円 | 144.2~3円 |
短期P&F | なし | ー | 149.2円 | 144.2円 |
STEP6:トレード方針の決定
来週のトレード方針
現在、短期・中期・長期チャートのいずれもシグナルの点灯はありませんでしたね。ただ、新たなレジサポが形成されている状況でした。
また、先週の高値149.4円付近はフィボナッチ38.2%水準であることも押さえておきたいです。
よって、来週の予想レンジは「144.2円〜149.3円」とし、目線は中立とします。直近の具体的な注目ポイントは、円安方向が短期・中期P&Fレジスタンス「149.2-3円付近」、円高方向が短期・中期P&Fサポート「144.2-3円付近」です。
トレードに関しては、次のシグナル点灯までは見送りとします。
以上、私の来週のドル円相場予想&トレード戦略構築でしたが、みなさんも来週のトレード戦略を立てられましたか?
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