この記事では、2004年から21年間一度も退場することなく勝ち抜いてきた兼業トレーダーである私が、"ドル円"を題材にP&FチャートによるFXの分析方法やリスク管理、実トレードに臨む際の考え方などを紹介しています。
FXで中長期的に利益を出すにはどうしたらいいのかとお悩みの方に、少しでも参考にしていただけたら幸いです。
それでは、今週も週末にしっかりと振り返りをしてトレードスキルを向上させましょう。
- P&Fを主軸としたテクニカル分析を通して、損切りと利確の基準が分かるようになる。
- FXとちょうどいい距離感で生活できるようになる。
- FXで成功している人の相場との向き合い方を知ることができる。
私が実践している戦略構築ステップは、こちらの記事で紹介していますので、初めての方はぜひ一度ご覧ください。

STEP1:ファンダメンタル観点での分析
それでは、ドル円の「週間相場予想&トレード戦略構築」を一緒にやっていきましょう。
STEP1は、ファンダメンタル関連の情報をチェックして、マーケット状況や投資家の注目トピックなどを把握します。
今週の注目経済指標&イベント結果
12/2_米ISM製造業景気指数、11月は48.2に低下 9カ月連続で50割れ

米供給管理協会(ISM)が1日発表した11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.2だった。前月の48.7から低下し、9カ月連続で製造業の拡大・縮小の節目を示す50を割り込んだ。関税措置の影響が続き、米製造業は低調な受注と原材料などの値上がりに直面している。ロイターがまとめたエコノミスト予想は49.0だった。
先行きを示す新規受注指数は47.4と、前月の49.4から低下。過去10カ月のうち9カ月で50を下回っている。輸出はやや改善したものの、受注残は減少傾向にある。
供給業者の納入を示す指数は49.3と、前月の54.2から低下。50を下回ると納期が短縮していることを示す。需要低迷を受け、サプライチェーン(供給網)への圧力が軽減したとみられる。
支払価格指数は58.5と、前月の58.0から上昇。低調な受注にもかかわらず、資材等への支払いが増え、インフレが高止まりする可能性を示した。
雇用指数は10カ月連続で50を割り込んだ。ISMが指摘していた「短中期需要の不透明感による人員削減の加速」が続いているとみられる。
ロイター
12/3_米ADP雇用報告、11月は3万2000人減 予想外の減少

米ADPリサーチ・インスティテュートが3日発表した11月の全米雇用報告によると、民間雇用者数は3万2000人減と、予想外に減少した。中小企業の雇用減少が響いた。
ロイター調査によるエコノミスト予想は1万人増だった。
10月は4万2000人増から4万7000人増に上方修正された。
小規模事業所では12万人分の雇用が削減された。エコノミストによると、輸入品への関税によりコストが上昇したためという。中規模企業の雇用者数は5万1000人増加、大企業は3万9000人増加した。
ADP報告は、スタンフォード大学デジタル経済研究所と共同で作成されており、労働省労働統計局(BLS)が発表する政府の雇用統計とは従来から乖離が見られる。パンテオン・マクロエコノミクスのチーフ・エコノミスト、サミュエル・トムズ氏は、「政府データとの相関があまりないので、問題視する必要はない」とした。
来週開催される米連邦準備理事会(FRB)の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)までには11月の雇用統計は発表されないため、一部のエコノミストは、当局者がADP報告に通常より注目する可能性があると指摘している。
ロイター
12/3_米11月ISM非製造業指数、52.6とほぼ横ばい 価格高止まり

米供給管理協会(ISM)が3日発表した11月の非製造業総合指数は52.6と、前月の52.4からほぼ横ばいとなった。企業は引き続き、関税とそれに関連する通関事務処理を活動の制約として挙げた。政府機関の閉鎖に伴う航空便の混乱も物資の輸送を遅らせた。
支払い価格が高止まりする中、雇用は依然として低調に推移した。
ロイターのエコノミスト調査では52.1への低下が予想されていた。
第4・四半期中盤の経済活動が堅調に推移していることを示唆するものの、エコノミストらは、経済活動は高所得世帯によってけん引されていると指摘。低所得世帯は、関税措置による物価上昇の影響を不均衡に受けており、「上下」の分断が進む「K字型経済」が進行している。
新規受注指数は52.9と、前月の56.2から低下した。受注残は依然として低水準にあるものの、減少ペースは大幅に鈍化した。
支払い価格指数は65.4と、前月の70.0から低下したものの、依然として高水準にあり、インフレ率が米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%を当面上回る可能性を示唆した。
ロイター
12/5_9月PCE価格、前年比2.8%上昇・前月比0.3%上昇 予想と一致

米商務省が5日発表した9月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比2.8%上昇し、前月の2.7%上昇から小幅加速した。これは2024年4月以来の大幅な上昇率となる。
前月比は0.3%上昇だった。前年比、前月比ともに市場予想と一致した。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比2.8%上昇、前月比0.2%上昇。8月は前年比2.9%上昇、前月比0.2%上昇だった。
個人消費支出は前月比0.3%増にとどまり、労働市場の低迷と生活費の上昇によって需要が抑制され、経済が第3・四半期末に失速した可能性を示唆した。8月の0.5%増から伸びが鈍化した。
パンテオン・マクロエコノミクスのシニアエコノミスト、オリバー・アレン氏は「消費者のファンダメンタルズは厳しい状況にある。第4・四半期の消費のさらなる失速につながるだろう」と述べた。
消費支出の増加は、特にガソリンをはじめとするエネルギー製品の価格上昇を反映している。自動車、娯楽用品、車両、その他耐久財への支出は減少した。衣料品と履物も減少。財貨(モノ)の消費全体は横ばいだった。
ロイター
来週の主な注目経済指標&イベント
| 日付 | 時間 | 経済指標・イベント |
|---|---|---|
| 12/10(水) | 28:00 | (米)米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表 |
| 28:30 | (米)パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見 |
上の表には載せていない経済指標でも結果次第では大きく変動する可能性がありますので、経済指標や経済イベントを重視したい方は、FX会社や証券会社のサイトで情報を入手しておきましょう。私は外為どっとコムのサイトを愛用しています。

経済メディアではインフレの落ち着く時期やFRB利下げ転換時期等について、経済学者などの著名人がもっともらしい見解を述べています。しかし、こうした経済のプロフェッショナルでさえ、未来がどうなるのかは誰にも分かりません。
こうした著名人の発言を鵜呑みにして、トレードを実行してしまう方が多いのですが、私はおすすめしません。
少し極端な表現ですが、投資の世界で最終的に信じられるのは自分だけです。この世界で長く生き残るためには、自分で相場の動向をいち早く察知して、その流れに付いていくことしかないと思っています。そして、そのためにはテクニカル分析と適度な情報収集を継続的に行う必要があります。
テクニカル分析の方法については、このブログで定期的にお伝えしていきますので、共感いただける方は、ぜひ一緒にやっていきましょう。
本日の相場概況把握「米長期金利関連情報」
本題のドル円に入る前に、米長期金利に関連する情報の概況を押さえていきましょう。
米長期金利チャート
日米長期金利差とドル円の相関性
直近20日間の日米金利差とドル円のCC(相関係数)は"-0.95"と、強い逆相関の関係になっているようです。
FRB利下げ予想時期
CMEのFedWatchツールによると、次回12月のFOMCでは0.25%の利下げ予想が86.2%と先週の86.4%から引き続き確実視されているようです。また、1月のFOMCでの連続利下げ予想は24.8%と先週の23.0%から微増という結果になっています。


以上で、ファンダメンタル観点での状況把握ができました。今週のファンダメンタル要素が現在のドル円相場にどのような影響を及ぼしているのか。その辺りは、次章からのテクニカル分析を通してみてみましょう。
FXで利益を上げたいなら、投資先の経済や政治に関する情勢を理解することが重要。経済ニュース等から情報収集し、自分なりの解釈を記録していきましょう。「円売りが当面続く」といった簡単な記録でも構いません。
ただ、経済情報は無数にありますので、収集しすぎれば良いというものでもなく、長期間継続することが大事ですので、ご自身の負担にならない程度に続けてみてください。
私たち個人投資家は、生活を豊かにするための"資産"が欲しいのであって、"経済のプロ"になりたいわけではないという方が大半かと思いますので、大まかな状況が分かれば十分です。
STEP2:今週の相場予想とトレード戦略の評価
さて、ファンダメンタル観点で状況を押さえた後は、テクニカル観点で相場を捉えていきましょう。
まずは、今週の相場予想とトレード戦略を振り返りです。
今週は予想レンジを「155.5円〜157.5円」に設定、週明け時点の目線は円高とし、具体的な注目ポイントとしては、下表の通りとしていましたね。
| レート | 根拠 |
|---|---|
| 157.4-5 | 中期P&Fレジスタンス |
| 157.4 | 短期P&Fレジスタンス |
| レート | 根拠 |
|---|---|
| 156.0-4 | 長期P&F前回円安目標値 |
| 155.3 | 短期P&F前回円安目標値 |
| 154.2-3 | 中期P&F前回レジスタンス |
| 153.0-4 | 長期P&F前回レジスタンス |
| 153.2-3 | 中期P&Fサポート |
| 153.1 | 短期P&Fサポート |
| 150.0-4 | 長期P&Fサポート |
トレード戦略評価
結果としては、月曜日に短期チャートの円高目標値155.5円に到達したあとも、全般的に円買い優勢の展開で、金曜日には一時154.3円まで円高となりましたが、引けにかけてはやや反発し、NY終値では154.3円付近での推移となりました。
なお、トレードについては短期P&Fの円高目標値155.5円に到達したことで、無事に利益確定完了。P&Fトレード検証の成績も急回復しています。
なお、日々の具体的なトレード戦略は値動きに合わせて調整を行っています。日々のトレード戦略は当ブログで毎日公開していますので、よろしければ毎朝ご覧ください。
では、来週のドル円相場予想とトレード戦略を考えていきましょう。私の場合は、"P&F(ポイント&フィギュア)"を主軸テクニカルに使用しています。現在のドル円のボラティリティー状況から、長期は「1枠50銭」、中期は「1枠20銭」、短期は「1枠:10銭」を採用しています。ただ、短期チャートは最近のボラティリティーには、若干合っていない状況が続いています。
それでは長期チャートから順番に見ていきましょう。
STEP3:テクニカル観点での長期トレンド分析
P&F0.5チャートは、今週の値動きによる変化点はなく、次回シグナルの点灯待ちの状況です。
| シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
|---|---|---|---|---|
| 水平 | なし | ー | 157.0-4 | 150.5-9 |
| 垂直 | なし | ー |
STEP4:テクニカル観点での中期トレンド分析
P&F0.2チャートは、今週の値動きにより◯枠が1枠増えましたが、現在も次回シグナルの点灯待ちとなっています。
| シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
|---|---|---|---|---|
| 水平 | なし | ー | 157.4-5 | 153.2-3 |
| 垂直 | なし | ー |
STEP5:テクニカル観点での短期トレンド分析
P&F0.1チャートは、今週の値動きにより水平カウンティングによる円高目標値に到達しています。なお、その後にできたサポートを下抜けており、垂直カウンティングによる円高シグナル点灯と見ることもできる状況です。ただ、垂直カウンティングの場合、連続同方向のシグナルは目標値到達率が高くないため、見送りとしています。よって、次回シグナル点灯待ちの状況です。シグナルが点灯しています。
| シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
|---|---|---|---|---|
| 水平 | なし | ー | 155.8 | ー |
| 垂直 | なし | ー |
- テクニカル分析は、長期から短期の順に進めていくことをおすすめします。
- 短期トレンドに対しては順張りでも、長期トレンドに対しては逆張りという場面が多々あります。
短期・中期・長期の全てが同じトレンドであった場合は強気、逆行している場合には弱気とするなど、
状況に合わせてポジション量をコントロールすることが大切です。 - 複数のテクニカル指標を用いて分析する場合、それぞれのテクニカル分析結果の方向が分かれた際の方針を決めておくとトレードが安定するのでおすすめです。
私の場合、トレードは主軸とするテクニカルに従うこととし、方向性の分かれ具合に応じて取引量を調整することにしています。
週初時点のP&Fまとめ
| チャート | シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
|---|---|---|---|---|---|
| 長期P&F | 水平 | なし | ー | 157.0-4 | 150.5-9 |
| 垂直 | なし | ー | |||
| 中期P&F | 水平 | なし | ー | 157.4-5 | 153.2-3 |
| 垂直 | なし | ー | |||
| 短期P&F | 水平 | なし | ー | 155.8 | ー |
| 垂直 | なし | ー |
STEP6:トレード方針の決定
来週のトレード方針
週初時点では、いずれのチャートもシグナルが点灯していませんので、来週の目線は横ばい(レンジ)にしようと思います。ただ、短期チャートではサポートを下抜ける展開が続いておりますので、このままズルズルと円買い優勢の展開が続く可能性も想定しておきたいです。
週明け時点の具体的な注目レートは下表の通りです。
| レート | 根拠 |
|---|---|
| 157.4-5 | 中期P&Fレジスタンス |
| 155.8 | 短期P&Fレジスタンス |
| 155.5 | 短期P&F前回サポート |
| レート | 根拠 |
|---|---|
| 154.2-3 | 中期P&F前回レジスタンス |
| 153.0-4 | 長期P&F前回レジスタンス |
| 153.2-3 | 中期P&Fサポート |
| 150.5-9 | 長期P&Fサポート |
なお、トレード検証に関しては次のシグナル点灯までは様子見です。
以上、私の来週のドル円相場予想&トレード戦略構築でしたが、みなさんも来週のトレード戦略を立てられましたか?
P&Fチャートは初心者の方でも利確位置や損切り位置が明確に決めることができるので、個人的にはとてもおすすめのチャートです。ここまでご覧いただいて「もっとP&Fを勉強したい」と思っていただけた方は、以下の記事でP&Fチャートの詳細を解説していますので、よろしければご覧ください。
お知らせ
FX指値1本勝負!
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