この記事では、2004年から21年間一度も退場することなく勝ち抜いてきた兼業トレーダーである私が、"ドル円"を題材にP&FチャートによるFXの分析方法やリスク管理、実トレードに臨む際の考え方などを紹介しています。
FXで中長期的に利益を出すにはどうしたらいいのかとお悩みの方に、少しでも参考にしていただけたら幸いです。
それでは、今週も週末にしっかりと振り返りをしてトレードスキルを向上させましょう。
- P&Fを主軸としたテクニカル分析を通して、損切りと利確の基準が分かるようになる。
- FXとちょうどいい距離感で生活できるようになる。
- FXで成功している人の相場との向き合い方を知ることができる。
私が実践している戦略構築ステップは、こちらの記事で紹介していますので、初めての方はぜひ一度ご覧ください。

STEP1:ファンダメンタル観点での分析
それでは、ドル円の「週間相場予想&トレード戦略構築」を一緒にやっていきましょう。
STEP1は、ファンダメンタル関連の情報をチェックして、マーケット状況や投資家の注目トピックなどを把握します。
今週の注目経済指標&イベント結果
6/11_米5月CPI2.4%上昇、前月からやや加速 関税措置で物価高の兆し

米労働省の労働統計局(BLS)が11日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇し、伸びは4月の2.3%からやや加速した。ガソリン価格の低下で家賃の上昇が相殺されたことで、伸びは予想(2.5%)を下回った。ただ、トランプ政権が掲げる関税措置により、インフレは加速すると予想されている。
物価の「瞬間風速」を示す前月比では0.1%上昇。4月は0.2%上昇していた。ロイター調査によるエコノミスト予想は0.2%上昇だった。
<コア指数前年比2.8%上昇、前月比0.1%上昇>
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.1%、前年比2.8%上昇した。予想はそれぞれ0.3%、2.9%上昇。4月は0.2%、2.8%上昇していた。
5月の基調的な物価上昇圧力が抑制されていたことについてエコノミストは、多くの小売業者が関税前に仕入れた商品を販売しているため、トランプ大統領が掲げる広範な関税措置に対する反応は今のところ緩やかなものになっているとの見方を示している。
ロイター
6/12_米卸売物価指数、5月は前年比2.6%上昇 前月比0.1%上昇

米労働省が12日発表した5月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比2.6%上昇した。伸びは4月の2.5%上昇から加速した。
前月比では0.1%上昇。エコノミスト予想の0.2%上昇を下回った。航空運賃などサービスコストが低下した。
4月は当初発表の0.5%低下から0.2%低下に改定された。
モノ(財)は前月比0.2%上昇。4月は0.1%上昇していた。ガソリンは1.6%上昇、食品は0.1%上昇した。変動が激しい食品とエネルギーを除くモノの価格は0.2%上昇した。
耐久消費財は0.4%上昇。これまで3カ月連続で0.2%上昇していた。トランプ政権が掲げる関税措置の影響が出ている可能性がある。
サービスは0.1%上昇。4月は0.4%下落していた。
貿易サービスが0.4%上昇した一方、輸送・倉庫サービスは0.2%下落。航空運賃は1.1%下落。宿泊料金は1.4%上昇した。ポートフォリオ管理手数料は1.0%下落。病院外来診療費は0.3%下落。医師の診察料は0.2%上昇した。
ロイター
来週の主な注目経済指標&イベント
日付 | 時間 | 経済指標・イベント | 予想 |
---|---|---|---|
6/17(火) | ー | (日)日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表 | 0.5% |
15:30 | (日)植田和男日銀総裁、定例記者会見 | ー | |
21:30 | (米)5月小売売上高(前月比) | -0.7% | |
21:30 | (米)5月小売売上高(除自動車)(前月比) | 0.2% | |
6/18(水) | 27:00 | (米)米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表 | 4.25-4.50% |
27:30 | (米)パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見 | ー | |
6/20(金) | 8:30 | (日)5月全国消費者物価指数(CPI)(前年同月比) | 3.5% |
8:30 | (米)5月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)(前年同月比) | 3.6% | |
8:30 | (日)5月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品・エネルギー除く)(前年同月比) | 3.2% | |
8:30 | (日)日銀・金融政策決定会合議事要旨 | ー | |
15:40 | (日)植田和男日銀総裁、発言 | ー |
今は投資家の注目がトランプ政策実行後の米経済の行方に集まっています。上の表には載せていない経済指標でも結果次第では大きく変動する可能性がありますので、以下のようなサイトで情報を入手しておきましょう。

経済メディアではインフレの落ち着く時期やFRB利下げ転換時期等について、経済学者などの著名人がもっともらしい見解を述べています。しかし、こうした経済のプロフェッショナルでさえ、未来がどうなるのかは誰にも分かりません。
こうした著名人の発言を鵜呑みにして、トレードを実行してしまう方が多いのですが、私はおすすめしません。
少し極端な表現ですが、投資の世界で最終的に信じられるのは自分だけです。この世界で長く生き残るためには、自分で相場の動向をいち早く察知して、その流れに付いていくことしかないと思っています。そして、そのためにはテクニカル分析と適度な情報収集を継続的に行う必要があります。
テクニカル分析の方法については、このブログで定期的にお伝えしていきますので、共感いただける方は、ぜひ一緒にやっていきましょう。
本日の相場概況把握「米長期金利編」
本題のドル円に入る前に、米長期金利の概況を押さえていきましょう。
米長期金利チャート
米長期金利のNY市場終値は前週末比-0.10%の”4.41%”です。今週は来週の各国中央銀行の政策金利発表もあってか、横ばいの展開となりました。今回の金融政策会合では据え置きが予想されていますので、来週も横ばいの展開が続くのかもしれません。発表後の植田総裁発言、パウエル議長発言に注目ですね。
日米長期金利差とドル円の相関性
次に、参考程度ですが日米長期金利差とドル円の相関性を見ていきます。以下のチャートをご覧ください。
直近20日間の日米金利差とドル円のCC(相関係数)は"0.13"で、相関性はほぼ無いようです。
FRB利下げ予想時期
CMEのFedWatchツールによると、6月のFOMCでは据え置きが確実視、7月も据え置き優勢、9月のFOMCでは利下げ予想が優勢です。先週比では9月の利下げ予想がやや増えています。



以上で、ファンダメンタル観点での状況把握ができました。今週のファンダメンタル要素が現在のドル円相場にどのような影響を及ぼしているのか。その辺りは、次章からのテクニカル分析を通してみてみましょう。
FXで利益を上げたいなら、投資先の経済や政治に関する情勢を理解することが重要。経済ニュース等から情報収集し、自分なりの解釈を記録していきましょう。「円売りが当面続く」といった簡単な記録でも構いません。
ただ、経済情報は無数にありますので、収集しすぎれば良いというものでもなく、長期間継続することが大事ですので、ご自身の負担にならない程度に続けてみてください。
私たち個人投資家は、生活を豊かにするための"資産"が欲しいのであって、"経済のプロ"になりたいわけではないという方が大半かと思いますので、大まかな状況が分かれば十分です。
STEP2:今週の相場予想とトレード戦略の評価
さて、ファンダメンタル観点で状況を押さえた後は、テクニカル観点で相場を捉えていきましょう。
まずは、今週の相場予想とトレード戦略を振り返りです。
今週は予想レンジを「142.8円〜145.7円」に設定、週明け時点の目線は円安(円売り優勢)とし、具体的な注目ポイントとしては、下表の通りとしていましたね。
レート | 根拠 |
---|---|
145.6-7円 | 中期P&F円安目標値 |
144.5-9円 | 長期P&Fレジスタンス |
144.8円 | 短期P&F前回円安目標値 |
レート | 根拠 |
---|---|
143.8-9円 | 中期P&F前回レジスタンス |
143.9円 | 短期P&F前回レジスタンス |
143.0-4円 | 長期P&Fサポート |
142.8-9円 | 中期P&Fサポート |
142.8円 | 短期P&Fサポート |
トレード戦略評価
結果としては今週はレンジ予想がほぼ的中しましたね。特に下限についてはドンピシャでした。トレードについては買いポジションを保有中ですが、押し目買いスタンスを貫くことで高値掴みを避けられた点が良かったと思います。
なお、日々の具体的なトレード戦略は値動きに合わせて調整を行っています。日々のトレード戦略は当ブログで毎日公開していますので、よろしければ毎朝ご覧ください。
では、来週のドル円相場予想とトレード戦略を考えていきましょう。私の場合は、"P&F(ポイント&フィギュア)"を主軸テクニカルに使用しています。現在のボラリティ状況から、長期は「1枠50銭」、中期は「1枠20銭」、短期は「1枠:10銭」を採用しています。
それでは長期チャートから順番に見ていきましょう。
STEP3:テクニカル観点での長期トレンド分析
P&F0.5チャートは、今週の値動きによる更新箇所はなく、次回シグナル点灯待ちの状況は変わりません。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | なし | ー | 144.5-9円 | 143.0-4円 |
垂直 | なし | ー |
STEP4:テクニカル観点での中期トレンド分析
P&F0.2チャートは、今週の値動きにより144.8円付近にレジスタンスが形成されていますが、現在も円安シグナルは点灯中で、目標値は145.6円付近です。
今週は一時145.46円と目標値まで接近しましたので、すでに円安エネルギーを放出してしまっている可能性もありますが、145.6円付近への到達を期待したいです。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | 円安 | 145.6-7円 | ー | 142.8-9円 |
垂直 | なし | ー |
STEP5:テクニカル観点での短期トレンド分析
P&F0.1チャートは、今週の値動きにより143.5円付近にサポート水準が更新されました。次のシグナル点灯に向けて徐々にチャート形状が更新されていますので、引き続き要注目です。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | なし | ー | 144.8円 | 143.5円 |
垂直 | なし | ー |
- テクニカル分析は、長期から短期の順に進めていくことをおすすめします。
- 短期トレンドに対しては順張りでも、長期トレンドに対しては逆張りという場面が多々あります。
短期・中期・長期の全てが同じトレンドであった場合は強気、逆行している場合には弱気とするなど、
状況に合わせてポジション量をコントロールすることが大切です。 - 複数のテクニカル指標を用いて分析する場合、それぞれのテクニカル分析結果の方向が分かれた際の方針を決めておくとトレードが安定するのでおすすめです。
私の場合、トレードは主軸とするテクニカルに従うこととし、方向性の分かれ具合に応じて取引量を調整することにしています。
週初時点のP&Fまとめ
チャート | シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|---|
長期P&F | 水平 | なし | ー | 148.0-4円 | 143.0-4円 |
垂直 | なし | ー | |||
中期P&F | 水平 | 円安 | 145.6-7円 | ー | 142.8-9円 |
垂直 | なし | ー | |||
短期P&F | 水平 | なし | ー | 144.8円 | 143.5円 |
垂直 | なし | ー |
STEP6:トレード方針の決定
来週のトレード方針
今週も中期チャートで円安シグナルが点灯中ですので、週明けの目線は引き続き円安(円売り優勢)にしようと思います。
週明け時点の具体的な注目レートは下表の通りです。
レート | 根拠 |
---|---|
145.6-7円 | 中期P&F円安目標値 |
144.5-9円 | 長期P&Fレジスタンス |
144.8円 | 短期P&F前回円安目標値 |
レート | 根拠 |
---|---|
143.0-4円 | 長期P&Fサポート |
142.8-9円 | 中期P&Fサポート |
143.5円 | 短期P&Fサポート |
具体的なトレードに関しては、中期チャートで円安シグナルが点灯したままですので、現在保有している143.8円での解ポジションは保持したままにしようと思います。
以上、私の来週のドル円相場予想&トレード戦略構築でしたが、みなさんも来週のトレード戦略を立てられましたか?
P&Fチャートは初心者の方でも利確位置や損切り位置が明確に決めることができるので、個人的にはとてもおすすめのチャートです。ここまでご覧いただいて「もっとP&Fを勉強したい」と思っていただけた方は、以下の記事でP&Fチャートの詳細を解説していますので、よろしければご覧ください。
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さいごに
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私は平日毎朝、ブログとPostPrimeでFXや株式指数のトレード戦略情報を発信しています。儲かる保証などは到底できませんが、私のトレード戦略情報を読んでいただければ、いきなり大損して即退場に追い込まれるようなリスクは下げられると思っていますので、もしよろしければご覧ください。
以降は毎週同じことを書いていますが、本当に大事なことなのでブログでも書きます。
私はFX歴17年になった今でも必ず「トレードの振り返りと戦略構築」を行うようにしています。トレードしていれば毎回成功なんて言うことはありえません。成功もあれば失敗もあります。
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最近FXトレードを始めたばかりの方や成績が安定しない方は、騙されたと思って来週の戦略構築を立てて記録する習慣をつけてください。
記録はノートでも何でも構いません。
もし継続して実践することができれば成績は自ずとついてきます。
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注意:本記事の記載内容は私の個人的な相場認識やトレード戦略を公開しているものです。読者の皆さんに積極的な取引を推奨しているわけではありません。 投資実行判断は自己責任でお願いします。
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