この記事では、2004年から21年間一度も退場することなく勝ち抜いてきた兼業トレーダーである私が、"ドル円"を題材にP&FチャートによるFXの分析方法やリスク管理、マインドなどを紹介しています。
FXで中長期的に利益を出すにはどうしたらいいのかとお悩みの方に、少しでも参考にしていただけたら幸いです。
それでは、今週も週末にしっかりと振り返りをしてトレードスキルを向上させましょう。
- P&Fを主軸としたテクニカル分析を通して、損切りと利確の基準が分かるようになる。
- FXとちょうどいい距離感で生活できるようになる。
- FXで成功している人の相場との向き合い方を知ることができる。
私が実践している戦略構築ステップは、こちらの記事で紹介していますので、初めての方はぜひ一度ご覧ください。

STEP1:ファンダメンタル観点での分析
それでは、ドル円の「週間相場予想&トレード戦略構築」を一緒にやっていきましょう。
STEP1は、ファンダメンタル関連の情報をチェックして、マーケット状況や投資家の注目トピックなどを把握します。
今週の注目経済指標&イベント結果
5/28_インフレと失業の「難しいトレードオフ」を懸念=FOMC5月議事要旨

米連邦準備理事会(FRB)が28日公表した5月6─7日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、今後数カ月でインフレと雇用悪化という「難しいトレードオフ」に直面する可能性があると認識していたことが分かった。トランプ政権が提案した関税の引き上げを受け、「ほぼ全ての参加者が、インフレが予想以上に持続するリスクがあるとコメントした」という。
5月のFOMC後、トランプ米政権は中国からの輸入品に対する145%の関税を引き下げることで合意した。これを受けて見通しは変化した可能性が高い。関税を巡る見通しは債券利回りを押し上げ、株価を下げ、米国経済の鈍化予測につながっていた。
今回公表された議事録では、FRBの政策立案者とスタッフが、流動的なトランプ政権の政策から生じる結果について重要な議論を行っていたことが示された。
中国などに賦課する関税の延期により、多くのアナリストが景気後退リスク予想を後退させたが、FRBスタッフは5月初旬の時点で、景気後退リスクは、成長は減速するものの継続するという基本見通しと「ほぼ同じくらいの可能性がある」とみていた。
ロイター
5/30_米4月PCE価格2.1%上昇、伸び鈍化 関税にらみ貯蓄志向強まる

米商務省が30日発表した4月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比2.1%上昇した。伸びは前月の2.3%から鈍化。米国の関税措置を巡る状況が常に変化し、経済的な不確実性が高まる中、家計が消費よりも貯蓄に資金を振り向けていることが背景にあるとみられる。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比2.5%上昇。伸びは前月の2.7%から鈍化し、2021年3月以降で最小となった。
前月比では0.1%上昇。3月も0.1%上昇(横ばいから上方改定)していた。
4月の個人消費支出は0.2%増と、エコノミスト予想と一致。伸びは3月の0.7%から鈍化した。
トランプ米政権が関税措置の発表と撤回を繰り返す中、消費者心理は悪化。消費者は貯蓄を増やしており、貯蓄率は4.9%と、前月の4.3%から上昇し、1年ぶりの高水準を付けた。
個人所得は前月から0.8%増加。物価の「瞬間風速」を示すPCE価格指数の前月比での変動は0.1%上昇。3月は横ばいだった。
ロイター
今週は米注目指標が少ない週でしたが、今後トランプ関税の影響度合いが各指標に反映されてくると思いますので、引き続き注目していきましょう。
来週の主な注目経済指標&イベント
日付 | 時間 | 経済指標・イベント | 予想 |
---|---|---|---|
6/2(月) | 23:00 | (米)5月ISM製造業景況指数 | 49.3 |
26:00 | (米)パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言 | ー | |
6/3(火) | 15:30 | (日)植田和男日銀総裁、発言 | ー |
23:00 | (米)4月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 | 710.0万件 | |
6/4(水) | 21:15 | (米)5月ADP雇用統計(前月比) | 11.0万人 |
23:00 | (米)5月ISM非製造業景況指数(総合) | 52.0 | |
6/6(金) | 21:30 | (米)5月非農業部門雇用者数変化(前月比) | 13.0万人 |
21:30 | (米)5月失業率 | 4.2% | |
21:30 | (米)5月平均時給(前月比) | 0.3% | |
21:30 | (米)5月平均時給(前年同月比) | 3.7% |
今は投資家の注目がトランプ政策実行後の米経済の行方に集まっています。上の表には載せていない経済指標でも結果次第では大きく変動する可能性がありますので、以下のようなサイトで情報を入手しておきましょう。

経済メディアではインフレの落ち着く時期やFRB利下げ転換時期等について、経済学者などの著名人がもっともらしい見解を述べています。しかし、こうした経済のプロフェッショナルでさえ、未来がどうなるのかは誰にも分かりません。
こうした著名人の発言を鵜呑みにして、トレードを実行してしまう方が多いのですが、私はおすすめしません。
少し極端な表現ですが、投資の世界で最終的に信じられるのは自分だけです。この世界で長く生き残るためには、自分で相場の動向をいち早く察知して、その流れに付いていくことしかないと思っています。そして、そのためにはテクニカル分析と適度な情報収集を継続的に行う必要があります。
テクニカル分析の方法については、このブログで定期的にお伝えしていきますので、共感いただける方は、ぜひ一緒にやっていきましょう。
本日の相場概況把握「米長期金利編」
本題のドル円に入る前に、米長期金利の概況を押さえていきましょう。
米長期金利チャート
米長期金利のNY市場終値は前週末比-0.11%の”4.40%”です。今週も続伸するかと期待していましたが、大幅反落となりましたね。ボリンジャーバントもスクイーズしていますので、また横ばいの展開が続くのかもしれません。
日米長期金利差とドル円の相関性
次に、参考程度ですが日米長期金利差とドル円の相関性を見ていきます。以下のチャートをご覧ください。
直近20日間の日米金利差とドル円のCC(相関係数)は"-0.38"で、やや逆相関の関係にあるようです。
FRB利下げ予想時期
CMEのFedWatchツールによると、6月のFOMCでは据え置きが確実視、7月も据え置き優勢、9月のFOMCでは利下げ予想が優勢になってきましたね。



以上で、ファンダメンタル観点での状況把握ができました。今週のファンダメンタル要素が現在のドル円相場にどのような影響を及ぼしているのか。その辺りは、次章からのテクニカル分析を通してみてみましょう。
FXで利益を上げたいなら、投資先の経済や政治に関する情勢を理解することが重要。経済ニュース等から情報収集し、自分なりの解釈を記録していきましょう。「円売りが当面続く」といった簡単な記録でも構いません。
ただ、経済情報は無数にありますので、収集しすぎれば良いというものでもなく、長期間継続することが大事ですので、ご自身の負担にならない程度に続けてみてください。
私たち個人投資家は、生活を豊かにするための"資産"が欲しいのであって、"経済のプロ"になりたいわけではないという方が大半かと思いますので、大まかな状況が分かれば十分です。
STEP2:今週の相場予想とトレード戦略の評価
さて、ファンダメンタル観点で状況を押さえた後は、テクニカル観点で相場を捉えていきましょう。
まずは、今週の相場予想とトレード戦略を振り返りです。
今週は予想レンジを「1439.3円〜148.5円」に設定、週明け時点の目線は円高方向とし、具体的な注目ポイントとしては、下表の通りとしていましたね。
レート | 根拠 |
---|---|
148.4-5円 | 中期P&Fレジスタンス |
148.0-4円 | 長期P&Fレジスタンス |
144.0円 | 短期P&Fレジスタンス |
143.7円 | 短期P&F前回サポート |
レート | 根拠 |
---|---|
142.6-7円 | 中期P&Fサポート |
142.5-9円 | 長期P&Fサポート |
139.3円 | 短期P&F円高目標値 |
結果としては週明け時点で点灯していた短期チャートの円高シグナルは、27日火曜日のNY終値時点で円安シグナルに転換。その後、29日には146.3円付近まで円安となる場面もありましたが、今週のNY終値時点では144.0円付近まで円高となって引けました。
トレードに関しては短期チャートの円高シグナルをもとにショートで入りましたが、シグナル転換に伴い損切りして様子見しています。
なお、日々の具体的なトレード戦略は値動きに合わせて調整を行っています。日々のトレード戦略は当ブログで毎日公開していますので、よろしければ毎朝ご覧ください。
では、来週のドル円相場予想とトレード戦略を考えていきましょう。私の場合は、"P&F(ポイント&フィギュア)"を主軸テクニカルに使用しています。現在のボラリティ状況から、長期は「1枠50銭」、中期は「1枠20銭」、短期は「1枠:10銭」を採用しています。
それでは長期チャートから順番に見ていきましょう。
STEP3:テクニカル観点での長期トレンド分析
P&F0.5チャートは、今週の値動きによりサポート位置が143円付近に更新されましたが、次回シグナル点灯待ちの状況は変わりません。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | なし | ー | 148.0-4円 | 143.0-4円 |
垂直 | なし | ー |
STEP4:テクニカル観点での中期トレンド分析
P&F0.2チャートは、今週の値動きによりレジスタンス位置が144.8円付近に更新されましたが、次回シグナル点灯待ちの状況は変わりません。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | なし | ー | 144.8-9円 | 142.6-7円 |
垂直 | なし | ー |
STEP5:テクニカル観点での短期トレンド分析
P&F0.1チャートは、前述の通り垂直カウンティングの円高シグナルは水平カウンティングによる円安シグナルに転換して、目標値到達済となっています。先週指摘した通り、やはりダマシでしたね。。。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | なし | ー | 144.8円 | 142.6円 |
垂直 | なし | ー |
- テクニカル分析は、長期から短期の順に進めていくことをおすすめします。
- 短期トレンドに対しては順張りでも、長期トレンドに対しては逆張りという場面が多々あります。
短期・中期・長期の全てが同じトレンドであった場合は強気、逆行している場合には弱気とするなど、
状況に合わせてポジション量をコントロールすることが大切です。 - 複数のテクニカル指標を用いて分析する場合、それぞれのテクニカル分析結果の方向が分かれた際の方針を決めておくとトレードが安定するのでおすすめです。
私の場合、トレードは主軸とするテクニカルに従うこととし、方向性の分かれ具合に応じて取引量を調整することにしています。
週初時点のP&Fまとめ
チャート | シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|---|
長期P&F | 水平 | なし | ー | 148.0-4円 | 143.0-4円 |
垂直 | なし | ー | |||
中期P&F | 水平 | なし | ー | 144.8-9円 | 142.6-7円 |
垂直 | なし | ー | |||
短期P&F | 水平 | なし | ー | 144.8円 | 142.6円 |
垂直 | なし | ー |
STEP6:トレード方針の決定
来週のトレード方針
今週はすべてのチャートでシグナル点灯待ちの状況ですので、週明けの目線は横ばい(レンジ)にしようと思います。
週明け時点の具体的な注目レートは下表の通りです。
レート | 根拠 |
---|---|
148.0-4円 | 長期P&Fレジスタンス |
144.9円 | 短期P&F前回円安目標値 |
144.8-9円 | 中期P&Fレジスタンス |
144.8円 | 短期P&Fレジスタンス |
レート | 根拠 |
---|---|
143.0-4円 | 長期P&Fサポート |
142.6-7円 | 中期P&Fサポート |
142.6円 | 短期P&Fサポート |
具体的なトレードに関しては、次のシグナル点灯まで様子見しようと個人的には思っています。
以上、私の来週のドル円相場予想&トレード戦略構築でしたが、みなさんも来週のトレード戦略を立てられましたか?
P&Fチャートは初心者の方でも利確位置や損切り位置が明確に決めることができるので、個人的にはとてもおすすめのチャートです。ここまでご覧いただいて「もっとP&Fを勉強したい」と思っていただけた方は、以下の記事でP&Fチャートの詳細を解説していますので、よろしければご覧ください。
お知らせ
FX指値1本勝負!
P&Fチャートを主軸テクニカルに採用した「FX指値1本勝負!」という記事を無料で公開しています。こちらは以前、noteやPostPrimeで読者のみなさんから大変好評いただいた企画を、P&Fチャートの有効性検証という形でリニューアルして再開したものです。もしよろしければ一度ごらんください。

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まだ使用されたことのない方は、ぜひ一度使ってみてください。

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大きな流れに逆らうときは控えめに
流れに逆らって泳ぐのは大変ですよね。トレードも同じです。大きな流れに沿った形の方が良い結果が出やすいと思います。今のトレードは大きな流れに沿っているのか?それとも逆らっているのかを意識するようにしましょう。
抵抗線を抜けた際の損切りは潔く
統計上、抵抗線を抜けた場合、逆方向の抵抗線になる可能性が高いです。
つまり、損切りをしないということは、損失拡大につながる可能性が高いというわけです。抵抗線を抜けた際には躊躇なく損切りしましょう。
さいごに
FX裁量トレードにおいては、長期間退場せずに生き残ることが最も大切です。長期間FXを継続することができればトレードスキルは自ずと身について来るからです。
私は平日毎朝、ブログとPostPrimeでFXや株式指数のトレード戦略情報を発信しています。儲かる保証などは到底できませんが、私のトレード戦略情報を読んでいただければ、いきなり大損して即退場に追い込まれるようなリスクは下げられると思っていますので、もしよろしければご覧ください。
以降は毎週同じことを書いていますが、本当に大事なことなのでブログでも書きます。
私はFX歴17年になった今でも必ず「トレードの振り返りと戦略構築」を行うようにしています。トレードしていれば毎回成功なんて言うことはありえません。成功もあれば失敗もあります。
そして、成功したときには自制が、失敗したときには改善が必要です。
そのためには、過去に自分がどういう考え方で取引したのかを振り返り、改善して次に活かしていく必要があるんです。
最近FXトレードを始めたばかりの方や成績が安定しない方は、騙されたと思って来週の戦略構築を立てて記録する習慣をつけてください。
記録はノートでも何でも構いません。
もし継続して実践することができれば成績は自ずとついてきます。
あなたが無理なく続けられる範囲で、少しずつアウトプットしてみませんか?
「具体的な記録の仕方がわからない」など質問や要望があれば遠慮なく、質問箱等で連絡ください。質問箱なら匿名で質問できますので、どうがお気軽に連絡いただければと思います。
注意:本記事の記載内容は私の個人的な相場認識やトレード戦略を公開しているものです。読者の皆さんに積極的な取引を推奨しているわけではありません。 投資実行判断は自己責任でお願いします。
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