この記事では、2004年から21年間一度も退場することなく勝ち抜いてきた兼業トレーダーである私が、"ドル円"を題材にP&FチャートによるFXの分析方法やリスク管理、マインドなどを紹介しています。
FXで中長期的に利益を出すにはどうしたらいいのかとお悩みの方に、少しでも参考にしていただけたら幸いです。
それでは、今週も週末にしっかりと振り返りをしてトレードスキルを向上させましょう。
- P&Fを主軸としたテクニカル分析を通して、損切りと利確の基準が分かるようになる。
- FXとちょうどいい距離感で生活できるようになる。
- FXで成功している人の相場との向き合い方を知ることができる。
私が実践している戦略構築ステップは、こちらの記事で紹介していますので、初めての方はぜひ一度ご覧ください。

STEP1:ファンダメンタル観点での分析
それでは、ドル円の「週間相場予想&トレード戦略構築」を一緒にやっていきましょう。
STEP1は、ファンダメンタル関連の情報をチェックして、マーケット状況や投資家の注目トピックなどを把握します。
今週の注目経済指標&イベント結果
5/13_米4月CPI2.3%上昇、約4年ぶりの低い伸び 利下げ見通しに変更なし

米労働省が13日発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.3%上昇した。伸びは3月の2.4%から鈍化し、2021年2月以来、約4年ぶりの低水準となった。しかし、関税の影響を背景にインフレ見通しは引き続き不透明で、米連邦準備理事会(FRB)が夏終盤まで利下げを再開しないという見通しを変えるには至らなかった。
市場予想は2.4%上昇だった。
物価の「瞬間風速」を示す前月比は0.2%上昇し、3月の0.1%下落からプラスに転じた。市場予想は0.3%上昇だった。
LPLフィナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は、米国と中国が追加関税引き下げで合意したことに言及し、「世界貿易の改善は、今後のインフレ動向に一定の明確さをもたらすだろう」と指摘。同時に「一時的な貿易合意の後に何が起きるかという不確実性によって、FRBの対応は難しくなるだろう。スタグフレーションのリスクもある。不透明感が解消されなければ、FRBは6月に政策調整はできない可能性がある」と述べた。
ロイター
5/15_米4月PPI、前年比の伸び2.4%に減速 前月比0.5%低下

米労働省が15日発表した4月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比2.4%上昇した。伸びは前月の3.4%から減速。エコノミスト予想の2.5%も下回った。
前月比では0.5%低下。エコノミスト予想は0.2%上昇だった。サービス価格が0.7%下落と、2009年以来の大幅な低下となったことで、予想外に低下した。サービス価格の低下は航空券や宿泊の需要減が背景。
3月は横ばいと、当初発表の0.4%低下から上方改定された。
ホテルなどの宿泊料金は3.1%下落し、前月の0.5%上昇からマイナスに転じた。ポートフォリオ管理手数料は6.9%大幅下落、航空運賃も1.5%下落した。
トランプ米大統領が保護主義的な貿易政策や厳格な移民政策を推進し、さらにデンマークの自治領グリーンランド獲得やカナダ「併合」への意欲を繰り返し表明していることを受け、米国を訪れる観光客は急激に減少。航空券の売上やホテル予約も落ち込んでいる。
ロイター
5/16_1─3月期実質GDP、4四半期ぶりマイナス 先行き米関税の影響注意=内閣府

内閣府が16日発表した2025年1─3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)が前期から0.2%減り、4四半期ぶりのマイナスとなった。身近なモノの価格上昇が人々の節約志向を強め、個人消費が振るわなかった。年率換算では0.7%減だった。先行きはけん引役不在の中、米国の通商政策による下振れリスクに注意する必要があるとの指摘が出ている。
ロイターがまとめた民間調査機関15社の予測によると、1─3月期実質GDPの予測中央値は前期比0.1%減、年率換算で0.2%のマイナス成長だった。
GDPの過半を占める個人消費は前期比0.04%増。4四半期連続でプラスとなったものの、伸び率は小幅にとどまった。食料品などがマイナスとなった一方、外食やゲーム・玩具などがプラスに寄与した。
個人消費とともに内需の柱となる企業の設備投資は同1.4%増。こちらも4四半期連続プラスとなった。研究開発やソフトウェアなどへの投資がけん引した。
ロイター
今週は再注目だった米CPIは、約4年ぶりの低水準となったものの、関税の影響懸念を背景にFRBの利下げ予想時期を変えるほどのインパクトはなかったようです。
来週の主な注目経済指標&イベント
日付 | 時間 | 経済指標・イベント | 予想 |
---|---|---|---|
5/23(金) | 8:30 | (日)4月全国消費者物価指数(CPI)(前年同月比) | 3.6% |
8:30 | (日)4月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)(前年同月比) | 3.5% | |
8:30 | (日)4月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品・エネルギー除く)(前年同月比) | 3.0% |
今は投資家の注目がトランプ政策実行後の米経済の行方に集まっています。上の表には載せていない経済指標でも結果次第では大きく変動する可能性がありますので、以下のようなサイトで情報を入手しておきましょう。

経済メディアではインフレの落ち着く時期やFRB利下げ転換時期等について、経済学者などの著名人がもっともらしい見解を述べています。しかし、こうした経済のプロフェッショナルでさえ、未来がどうなるのかは誰にも分かりません。
こうした著名人の発言を鵜呑みにして、トレードを実行してしまう方が多いのですが、私はおすすめしません。
少し極端な表現ですが、投資の世界で最終的に信じられるのは自分だけです。この世界で長く生き残るためには、自分で相場の動向をいち早く察知して、その流れに付いていくことしかないと思っています。そして、そのためにはテクニカル分析と適度な情報収集を継続的に行う必要があります。
テクニカル分析の方法については、このブログで定期的にお伝えしていきますので、共感いただける方は、ぜひ一緒にやっていきましょう。
本日の相場概況把握「米長期金利編」
本題のドル円に入る前に、米長期金利の概況を押さえていきましょう。
米長期金利チャート
米長期金利のNY市場終値は前週末比+0.08%の”4.45%”です。今週は週足チャートで上ヒゲが出るなど、私たちの想定通り横ばいの展開に移行したようですね。ボリンジャーバントを見ても横ばいを示す形状になっています。
日米長期金利差とドル円の相関性
次に、参考程度ですが日米長期金利差とドル円の相関性を見ていきます。以下のチャートをご覧ください。
直近20日間の日米金利差とドル円のCC(相関係数)は"-0.25"で、やや逆相関の関係のようです。
FRB利下げ予想時期
CMEのFedWatchツールによると、6月のFOMCでは据え置きが確実視されており、9月のFOMCでようやく利下げ予想が半数という状況になっていますね。



以上で、ファンダメンタル観点での状況把握ができました。今週のファンダメンタル要素が現在のドル円相場にどのような影響を及ぼしているのか。その辺りは、次章からのテクニカル分析を通してみてみましょう。
FXで利益を上げたいなら、投資先の経済や政治に関する情勢を理解することが重要。経済ニュース等から情報収集し、自分なりの解釈を記録していきましょう。「円売りが当面続く」といった簡単な記録でも構いません。
ただ、経済情報は無数にありますので、収集しすぎれば良いというものでもなく、長期間継続することが大事ですので、ご自身の負担にならない程度に続けてみてください。
私たち個人投資家は、生活を豊かにするための"資産"が欲しいのであって、"経済のプロ"になりたいわけではないという方が大半かと思いますので、大まかな状況が分かれば十分です。
STEP2:今週の相場予想とトレード戦略の評価
さて、ファンダメンタル観点で状況を押さえた後は、テクニカル観点で相場を捉えていきましょう。
まずは、今週の相場予想とトレード戦略を振り返りです。
今週は予想レンジを「143.5円〜146.1円」に設定、週明け時点の目線は円安方向とし、具体的な注目ポイントとしては、下表の通りとしていましたね。
レート | 根拠 |
---|---|
148.0-4円 | 長期P&F円安目標値 |
146.0-1円 | 中期P&F前回円安目標値 |
レート | 根拠 |
---|---|
145.0-4円 | 長期P&F前回レジスタンス |
145.2-3円 | 中期P&F前回レジスタンス |
145.3円 | 短期P&F前回レジスタンス |
142.6-7円 | 中期P&Fサポート |
142.5円 | 短期P&Fサポート |
142.5-9円 | 長期P&Fサポート |
結果としては週明け早々に予想レンジの上限(中期P&F前回円安目標値:146.0-1円)を上抜けると、円売りが加速。長期P&F円安目標値:148.0-4円を超えて148.6円まで円安方向が進みました。その後は揺り戻しの動きが活発となり、今週のNY終値は145.6円付近となりました。
トレードに関しては長期チャートの円安シグナル点灯を根拠にした買いポジションが148.0円で無事に利益確定が完了し、現在は次のシグナル点灯を待っている状況です。
なお、日々の具体的なトレード戦略は値動きに合わせて調整を行っています。日々のトレード戦略は当ブログで毎日公開していますので、よろしければ毎朝ご覧ください。
では、来週のドル円相場予想とトレード戦略を考えていきましょう。私の場合は、"P&F(ポイント&フィギュア)"を主軸テクニカルに使用しています。現在のボラリティ状況から、長期は「1枠50銭」、中期は「1枠20銭」、短期は「1枠:10銭」を採用しています。
それでは長期チャートから順番に見ていきましょう。
STEP3:テクニカル観点での長期トレンド分析
P&F0.5チャートは、今週の値動きにより円安目標値は148円付近に到達しました。P&Fを参考にされた方は大きな利益が出たかと思います。おめでとうございます!
なお、現在は次のシグナル点灯待ちとなっています。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | なし | ー | 148.0-4円 | 142.5-9円 |
垂直 | なし | ー |
STEP4:テクニカル観点での中期トレンド分析
P&F0.2チャートは、今週の値動きにより円安目標値を行き過ぎの状況は改善されておりますが、現在も次のシグナル点灯待ちの状況です。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | なし | ー | 148.4-5円 | 142.6-7円 |
垂直 | なし | ー |
STEP5:テクニカル観点での短期トレンド分析
P&F0.1チャートは、今週の値動きによりレジスタンスが148.4円付近に形成されましたが、現在も次回シグナルの点灯待ちという状況です。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | なし | ー | 148.4円 | 145.4円 |
垂直 | なし | ー |
- テクニカル分析は、長期から短期の順に進めていくことをおすすめします。
- 短期トレンドに対しては順張りでも、長期トレンドに対しては逆張りという場面が多々あります。
短期・中期・長期の全てが同じトレンドであった場合は強気、逆行している場合には弱気とするなど、
状況に合わせてポジション量をコントロールすることが大切です。 - 複数のテクニカル指標を用いて分析する場合、それぞれのテクニカル分析結果の方向が分かれた際の方針を決めておくとトレードが安定するのでおすすめです。
私の場合、トレードは主軸とするテクニカルに従うこととし、方向性の分かれ具合に応じて取引量を調整することにしています。
週初時点のP&Fまとめ
チャート | シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|---|
長期P&F | 水平 | なし | ー | 148.0-4円 | 142.5-9円 |
垂直 | なし | ー | |||
中期P&F | 水平 | なし | ー | 148.4-5円 | 142.6-7円 |
垂直 | なし | ー | |||
短期P&F | 水平 | なし | ー | 148.4円 | 145.4円 |
垂直 | なし | ー |
STEP6:トレード方針の決定
来週のトレード方針
今週はすべてのチャートでシグナル点灯待ちの状況ですので、本日の目線は横ばい(レンジ)にしようと思います。
週明け時点の具体的な注目レートは下表の通りです。
レート | 根拠 |
---|---|
148.7円 | 短期P&F前回円安目標値(垂直C) |
148.4-5円 | 中期P&Fレジスタンス |
148.4円 | 短期P&Fレジスタンス |
148.0-4円 | 長期P&Fレジスタンス |
レート | 根拠 |
---|---|
145.4円 | 短期P&Fサポート |
145.0-4円 | 長期P&F前回レジスタンス |
145.2-3円 | 中期P&F前回レジスタンス |
142.6-7円 | 中期P&Fサポート |
142.5-9円 | 長期P&Fサポート |
具体的なトレードに関しては、現在全てのチャートでシグナル点灯待ちとなっていますので、トレードは見送ろうと個人的には思っています。
以上、私の来週のドル円相場予想&トレード戦略構築でしたが、みなさんも来週のトレード戦略を立てられましたか?
P&Fチャートは初心者の方でも利確位置や損切り位置が明確に決めることができるので、個人的にはとてもおすすめのチャートです。ここまでご覧いただいて「もっとP&Fを勉強したい」と思っていただけた方は、以下の記事でP&Fチャートの詳細を解説していますので、よろしければご覧ください。
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大きな流れに逆らうときは控えめに
流れに逆らって泳ぐのは大変ですよね。トレードも同じです。大きな流れに沿った形の方が良い結果が出やすいと思います。今のトレードは大きな流れに沿っているのか?それとも逆らっているのかを意識するようにしましょう。
抵抗線を抜けた際の損切りは潔く
統計上、抵抗線を抜けた場合、逆方向の抵抗線になる可能性が高いです。
つまり、損切りをしないということは、損失拡大につながる可能性が高いというわけです。抵抗線を抜けた際には躊躇なく損切りしましょう。
さいごに
FX裁量トレードにおいては、長期間退場せずに生き残ることが最も大切です。長期間FXを継続することができればトレードスキルは自ずと身について来るからです。
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以降は毎週同じことを書いていますが、本当に大事なことなのでブログでも書きます。
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記録はノートでも何でも構いません。
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「具体的な記録の仕方がわからない」など質問や要望があれば遠慮なく、質問箱等で連絡ください。質問箱なら匿名で質問できますので、どうがお気軽に連絡いただければと思います。
注意:本記事の記載内容は私の個人的な相場認識やトレード戦略を公開しているものです。読者の皆さんに積極的な取引を推奨しているわけではありません。 投資実行判断は自己責任でお願いします。
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