この記事では、2004年から20年間一度も退場することなく勝ち抜いてきた兼業トレーダーである私が、"ドル円"を題材にFXの分析方法やリスク管理、マインドなどを紹介しています。
FXで利益を出すにはどうしたらいいのかとお悩みの方に、少しでも参考にしていただけたら幸いです。
それでは、今週も週末にしっかりと振り返りをしてトレードスキルを向上させましょう。
- P&Fを主軸としたテクニカル分析を通して、損切りと利確の基準が分かるようになる。
- FXとちょうどいい距離感で生活できるようになる。
- FXで成功している人の相場との向き合い方を知ることができる。
私が実践している戦略構築ステップは、こちらの記事で紹介していますので、初めての方はぜひ一度ご覧ください。
STEP1:ファンダメンタル観点での分析
それでは、ドル円の「週間相場予想&トレード戦略構築」を一緒にやっていきましょう。
STEP1は、ファンダメンタル関連の情報をチェックして、マーケット状況や投資家の注目トピックなどを把握します。
今週の注目経済指標&イベント結果
11/13_米10月CPI2.6%上昇、前月から加速 予想と一致
米労働省が13日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は、前年比2.6%上昇した。家賃などの住居費の上昇を背景に、伸びは前月の2.4%から加速した。インフレ鈍化に向けた進展は幾分失速しているもようで、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測に変化はないものの、来年の利下げペースは鈍る可能性がある。
前月比では4カ月連続で0.2%上昇した。
前年比、前月比とも市場予想と一致した。
ロイター
11/14_米10月PPI、前年比2.4%上昇に伸び加速 インフレ抑制失速示す
米労働省が14日発表した10月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比2.4%上昇した。伸びは前月の1.9%から加速し、市場予想の2.3%を上回った。
13日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)も前年比2.6%上昇と、伸びが加速しており、インフレ抑制に向けた進展の失速を改めて示唆する内容となった。
ただ、米連邦準備理事会(FRB)が12月に追加利下げを実施するという観測を変えるには至っていない。
PPIの前月比は0.2%上昇で、予想と一致。9月は当初発表の変わらずから0.1%上昇に上方改定された。
キャピタル・エコノミクスの北米担当デピュティチーフエコノミスト、スティーブン・ブラウン氏は「今週発表されたインフレデータは、インフレ圧力がFRBの想定以上に強いことを示唆している」と述べた。
バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズの米国エコノミスト、スティーブン・ジュノー氏は「われわれは依然としてFRBが12月に25ベーシスポイント(bp)の利下げを行うと予想しているが、景気回復とインフレの根強さを考えると、利下げサイクルは浅くなるリスクが高まっているようだ」と述べた。
ロイター
11/14_情報BOX:パウエル米FRB議長の発言要旨
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は14日、ダラス地区連銀など主催のイベントで講演した。主な発言内容は以下の通り。
*経済はFRBが金利引き下げを急ぐ必要があるというシグナルを送っていない
*金融政策は時間をかけて中立へと向かうが、道筋は事前に決まっていない
*インフレ率は「時には困難な」道筋をたどりながら、2%目標に向かって引き続き低下すると予想
*FRBはインフレ対策を完遂することに全力を尽くす
*経済の強さによりFRBは慎重に決定を下すことができる
*個人消費支出(PCE)価格指数は10月に前年比2.3%上昇する見込み(9月は2.1%)
*コアPCE価格指数は同2.8%上昇する見込み(9月は2.7%)
*FRBはこれらが最近のレンジ内で変動し続けると予想し、注意深く監視
*労働市場は堅調、インフレは2%への持続可能な軌道に乗っている
*最近の米国経済の動向は極めて良好
*労働市場はもはや大きなインフレ圧力の源とはならないところまで鎮静化している
ロイター
11/15_米10月小売売上高0.4%増、予想上回る 好調な消費継続の見通し
米商務省が15日発表した10月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.4%増加した。自動車や電化製品の堅調な売り上げが追い風となり、市場予想の0.3%増を上回った。経済が第4・四半期に好調な滑り出しとなっている様子を示唆した。
9月分は当初の0.4%増から0.8%増に上方改定された。
FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げが正当化されるのか疑問符が付く内容となった」と指摘。「財政政策が成長促進に向けた刺激策に本格的にシフトすると予想される中、インフレ再燃につながる恐れがあるため、FRBは利下げによって成長を刺激する火に油を注ぐべきではないだろう」と述べた。
ロイター
今週は米消費者物価指数や卸売物価指数、小売売上高といった注目の経済指標やパウエル議長発言がありましたね。この結果、FRBの利下げペースが遅くなるとの予想が増えているようです。また、トランプ大統領の政策による財政悪化を懸念した債券売り(米長期金利の上昇)が継続しており、円売りドル買いの動きが強まったようです。
なお、最新の予想利下げ幅の状況は、のちほどCMEのFedWatchツールで確認しようと思います。
注目経済指標&イベント
来週の注目経済指標を選定しました。来週はこれと言って注目度の高い経済指標はありませんが、植田総裁発言が予定されていますので、要注意です。
日付 | 時間 | 経済指標・イベント | 予想 |
---|---|---|---|
11/18(月) | 10:05 | (日)植田和男日銀総裁、発言 | ー |
11/21(木) | 14:10 | (日)植田和男日銀総裁、発言 | ー |
22:30 | (米)前週分新規失業保険申請件数 | ||
22:30 | (米)前週分失業保険継続受給者数 | ||
11/22(金) | 08:30 | (日)10月全国消費者物価指数(CPI)(前年同月比) | 2.3% |
08:30 | (日)10月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)(前年同月比) | 2.2% | |
08:30 | (日)10月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品・エネルギー除く)(前年同月比) | 2.2% |
また、今は投資家の注目が米経済の行方に集まっています。上の表には載せていない経済指標でも結果次第では大きく変動する可能性がありますので、以下のようなサイトで情報を入手しておきましょう。
経済メディアではインフレの落ち着く時期やFRB利下げ転換時期等について、経済学者などの著名人がもっともらしい見解を述べています。しかし、こうした経済のプロフェッショナルでさえ、未来がどうなるのかは誰にも分かりません。
こうした著名人の発言を鵜呑みにして、トレードを実行してしまう方が多いのですが、私はおすすめしません。
少し極端な表現ですが、投資の世界で最終的に信じられるのは自分だけです。この世界で長く生き残るためには、自分で相場の動向をいち早く察知して、その流れに付いていくことしかないと思っています。そして、そのためにはテクニカル分析と適度な情報収集を継続的に行う必要があります。
テクニカル分析の方法については、このブログで定期的にお伝えしていきますので、共感いただける方は、ぜひ一緒にやっていきましょう。
日米長期金利差とドル円の相関性
次に、参考程度ですが日米長期金利差とドル円の相関性を見ていきます。以下のチャートをご覧ください。
直近20日間の日米金利差とドル円のCC(相関係数)は"0.61"ということで、やや相関性の高い状況になっているようですね。
現在、市場の注目は米長期金利の行方に集まっていますが、日々の報道を鵜呑みにせず、自分でも定期的にチャートをチェックして客観的に評価していくようにしましょう。
FRB利下げ予想時期
CMEのFedWatchツールによると、市場参加者の次回12月FOMCでの利下げ予想率は"61.9%"と、小幅利下げ予想が据え置きよりもやや優勢ですね。
以上で、ファンダメンタル観点での状況把握ができましたね。今週のファンダメンタル要素が、現在のドル円相場にどのような影響を及ぼしているのか。その辺りは、次章からのテクニカル分析を通してみてみましょう。
FXで利益を上げたいなら、投資先の経済や政治に関する情勢を理解することが重要。経済ニュース等から情報収集し、自分なりの解釈を記録していきましょう。「円売りが当面続く」といった簡単な記録でも構いません。
ただ、経済情報は無数にありますので、収集しすぎれば良いというものでもなく、長期間継続することが大事ですので、ご自身の負担にならない程度に続けてみてください。
私たち個人投資家は、生活を豊かにするための"資産"が欲しいのであって、"経済のプロ"になりたいわけではないという方が大半かと思いますので、大まかな状況が分かれば十分です。
STEP2:今週の相場予想とトレード戦略の評価
さて、ファンダメンタル観点で状況を押さえた後は、テクニカル観点で相場を捉えていきましょう。
まずは、今週の相場予想とトレード戦略を振り返りです。
今週は予想レンジを「151.7円〜155.0円」に設定、目線は円安としました。そして、直近の具体的な注目ポイントは、下表の通りとしていました。
レート | 根拠 |
---|---|
157.0-1円 | 中期P&F円安目標値 |
155.0円 | 短期P&F円安目標値 |
154.5-9円 | 長期P&Fレジスタンス |
154.6-7円 | 中期P&Fレジスタンス |
154.6円 | 短期P&Fレジスタンス |
レート | 根拠 |
---|---|
151.8-9円 | 中期P&Fサポート |
151.7円 | 短期P&Fサポート |
結果としては、水曜日に短期P&Fの円安目標値155.0円台に到達すると、金曜日には156.7円台と中期P&Fの円安目標値157.0円に近づく場面もありました。ただ、その後は円高優勢となりNY終値基準では154.3円付近での推移です。
なお、日々の具体的なトレード戦略は値動きに合わせて調整を行っています。日々のトレード戦略は当ブログで毎日公開していますので、よろしければ毎朝ご覧ください。
では、来週のドル円相場予想とトレード戦略を考えていきましょう。私の場合は、"P&F(ポイント&フィギュア)"を主軸テクニカルに使用しています。現在のボラリティ状況から、長期は「1枠50銭」、中期は「1枠20銭」、短期は「1枠:10銭」を採用しています。
それでは長期チャートから順番に見ていきましょう。
STEP3:テクニカル観点での長期トレンド分析
P&F0.5チャートは、今週の値動きにより垂直カウンティングによる円安シグナルが点灯しています。円安目標値は165.0円付近となっています。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | なし | ー | 156.0-4円 | 153.0-4円 |
垂直 | 円安 | 165.0-4円 |
STEP4:テクニカル観点での中期トレンド分析
P&F0.2チャートは、今週の値動きにより一時円安目標値まであと30銭程度のところまで接近しましたが反落し、直近レジスタンス付近(154.6円)まで戻ってきている状況です。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | 円安 | 157.0-1円 | 156.2-3円 | 152.6-7円 |
垂直 | なし | ー |
STEP5:テクニカル観点での短期トレンド分析
P&F0.1チャートは、今週の値動きにより円安目標値(155.0円付近)に完全到達となりました。その後は短期的に行き過ぎている状況が数日続いていましたが、金曜日には前回円安目標値(155.0円付近)まで押し戻される展開になりました。
シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
水平 | なし | ー | 156.2円 | 152.6円 |
垂直 | なし | ー |
- テクニカル分析は、長期から短期の順に進めていくことをおすすめします。
- 短期トレンドに対しては順張りでも、長期トレンドに対しては逆張りという場面が多々あります。
短期・中期・長期の全てが同じトレンドであった場合は強気、逆行している場合には弱気とするなど、
状況に合わせてポジション量をコントロールすることが大切です。 - 複数のテクニカル指標を用いて分析する場合、それぞれのテクニカル分析結果の方向が分かれた際の方針を決めておくとトレードが安定するのでおすすめです。
私の場合、トレードは主軸とするテクニカルに従うこととし、方向性の分かれ具合に応じて取引量を調整することにしています。
週初時点のP&Fまとめ
チャート | シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|---|
長期P&F | 水平 | なし | ー | 156.0-4円 | 153.0-4円 |
垂直 | 円安 | 165.0-4円 | |||
中期P&F | 水平 | 円安 | 157.0-1円 | 156.2-3円 | 152.6-7円 |
垂直 | なし | ||||
短期P&F | 水平 | なし | ー | 156.2円 | 152.6円 |
垂直 | なし | ー |
STEP6:トレード方針の決定
来週のトレード方針
現在、P&Fは中期チャートで水平Cによる円安シグナルが点灯中、長期チャートで垂直Cによる円安シグナルが点灯中です。このことから、来週も目線は円安方向とし、徐々にサポートを切り上げながら、円売りの優勢の展開が続くことを期待したいです。
よって、来週の予想レンジは「152.6円〜157.0円」とし、目線は円安とします。直近の具体的な注目ポイントは下表の通りです。
レート | 根拠 |
---|---|
157.0-1円 | 中期P&F円安目標値 |
156.0-4円 | 長期P&Fレジスタンス |
156.2-3円 | 中期P&Fレジスタンス |
156.2円 | 短期P&Fレジスタンス |
レート | 根拠 |
---|---|
153.0-4円 | 長期P&Fサポート |
152.6-7円 | 中期P&Fサポート |
152.6円 | 短期P&Fサポート |
トレードに関しては、現在、中期チャートの円安シグナル点灯位置(152.8-9円)での買いポジションを保有しています。なお、短期チャートの円安シグナルを根拠にした買いポジションは先日155.0円にて利益確定済です。
以上、私の来週のドル円相場予想&トレード戦略構築でしたが、みなさんも来週のトレード戦略を立てられましたか?
P&Fチャートは初心者の方でも利確位置や損切り位置が明確に決めることができるので、個人的にはとてもおすすめのチャートです。ここまでご覧いただいて「もっとP&Fを勉強したい」と思っていただけた方は、以下の記事でP&Fチャートの詳細を解説していますので、よろしければご覧ください。
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大きな流れに逆らうときは控えめに
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統計上、抵抗線を抜けた場合、逆方向の抵抗線になる可能性が高いです。
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さいごに
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注意:本記事の記載内容は私の個人的な相場認識やトレード戦略を公開しているものです。読者の皆さんに積極的な取引を推奨しているわけではありません。 投資実行判断は自己責任でお願いします。
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