この記事では、2004年から20年間一度も退場することなく勝ち抜いてきた兼業トレーダーである私が、"ドル円"を題材にFXの分析方法やリスク管理、マインドなどを紹介しています。
FXで利益を出すにはどうしたらいいのかとお悩みの方に、少しでも参考にしていただけたら幸いです。
それでは、今週も週末にしっかりと振り返りをしてトレードスキルを向上させましょう。
- P&Fを主軸としたテクニカル分析を通して、損切りと利確の基準が分かるようになる。
- FXとちょうどいい距離感で生活できるようになる。
- FXで成功している人の相場との向き合い方を知ることができる。
私が実践している戦略構築ステップは、こちらの記事で紹介していますので、初めての方はぜひ一度ご覧ください。
STEP1:ファンダメンタル観点での分析
それでは、ドル円の「週間相場予想&トレード戦略構築」を一緒にやっていきましょう。
STEP1は、ファンダメンタル関連の情報をチェックして、マーケット状況や投資家の注目トピックなどを把握します。
今週の注目経済指標&イベント結果
8/21_米労働省、雇用統計の就業者数を下方改定 健全性巡る懸念裏付け
米労働省が21日に公表した雇用統計の算出基準改定の結果、3月までの1年間の就業者数が当初発表より大幅に少なかったことが分かった。労働市場の健全性を巡る懸念が裏付けられた格好となる。
労働省は、3月時点の非農業部門の就業者数を81万8000人下方改定。率にして約0.5%の下方改定となる。
これに伴い、3月までの1年間の月平均の就業者数は約17万4000人増となった。改定前は24万2000人増だった。
民間部門は81万9000人(0.6%)下方改定された。部門別では、専門・ビジネスサービスが最も大きく下方改定。レジャー・接客と製造も下方改定された。一方、教育・医療サービス、運輸・倉庫、公益は上方改定された。
ロイター
8/21_「大多数」の当局者、9月利下げ適切との見解=FOMC議事要旨
米連邦準備理事会(FRB)が21日公表した7月30─31日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、当局者の「大多数」が、経済指標がほぼ予想通りとなれば、次回9月の会合で「金融政策を緩和することが適切となる公算が大きい」という見解を示していたことが分かった。
一部の参加者が7月会合で利下げを実施することに前向きだった可能性も示唆された。
FRBは7月のFOMCでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%に据え置いたが、パウエル議長は会合後の記者会見で、早ければ9月のFOMCで利下げを議論する可能性があると述べた。 もっと見る
議事要旨によると、「多くの」当局者が金利水準は制約的との認識を示したほか、「少数」の参加者はインフレ圧力が弱まっている中での金利据え置きは、金融政策が経済活動の足かせとなることを意味すると主張した。
7月の金利据え置きは全員が支持。一方、参加者の一角は、失業率が高まる中でインフレ率の鈍化が進んでいることから「同会合で目標レンジを25ベーシスポイント(bp)引き下げる妥当性があった、もしくはそうした(利下げの)決定を支持することが可能だった」と言及した。
ロイター
8/23_米FRB議長、9月利下げ開始示唆 政策調整の「時期到来」
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日、年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演した。インフレはFRBの目標である2%に向かいつつあるため、政策を調整する「時期が来た」とし、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに着手する可能性を示唆した。同時に、雇用市場の一段の冷え込みは歓迎されないという見解を示した。
パウエル議長は「インフレ上振れリスクは後退し、雇用への下振れリスクが高まった」と指摘。「政策調整の時期が到来した。進むべき方向は明確だ。利下げの時期とペースは今後発表されるデータや変化する見通し、リスクのバランスによって決まる」と述べた。
さらにFRBの「仕事はまだ完了していない」としつつも、物価安定回復に向け「かなりの進展を遂げた」とし、「インフレが2%回帰に向け持続可能な軌道に乗っているという確信が強まった」という見解も示した。
失業率が過去1年間に1%ポイント近く上昇したことについては、主に労働供給の増加と雇用の減速によるもので、解雇の増加によるものではないと指摘した上で、FRBは「労働市場のさらなる減速を目指しておらず、歓迎もしない」と強調。「物価安定に向けてさらなる進展を遂げる中で、われわれは力強い労働市場を支えるためにあらゆる措置を講じる。政策の制約を適切に緩和すれば、力強い労働市場を維持しつつインフレが2%に回帰すると考える十分な理由がある」と言明した。
ロイター
今週発表された米雇用統計の算出基準改定の結果やFOMC議事要旨、FRBパウエル議長発言は、いずれも次回9月FOMCでの利下げの可能性を印象付ける内容となったようですね。
現在のところ、9月FOMCでの利下げはほぼ確実で、残る焦点は利下げ幅がどの程度になるかというところのみでしょうか。のちほどCMEのFedWatchツールで確認しようと思います。
注目経済指標&イベント
来週の注目経済指標を選定して掲載しました。来週も注目経済指標は少なめですが、米GDP改定値や米個人消費支出(PCE)に注目です。
日付 | 時間 | 経済指標・イベント | 予想 |
---|---|---|---|
8/29(木) | 21:30 | (米)4-6月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)(前期比年率) | 2.8% |
21:30 | (米)4-6月期四半期GDP個人消費・改定値(前期比年率) | 2.2% | |
21:30 | (米)4-6月期四半期コアPCE・改定値(前期比年率) | 2.8% | |
8/30(金) | 21:30 | (米)7月個人所得(前月比) | 0.2% |
21:30 | (米)7月個人消費支出(PCE)(前月比) | 0.5% | |
21:30 | (米)7月個人消費支出(PCEデフレーター)(前年同月比) | 2.6% | |
21:30 | (米)7月個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く)(前月比) | 0.2% | |
21:30 | (米)7月個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く)(前年同月比) | 2.7% |
また、今は投資家の注目が米経済の行方に集まっていますので、下表には載せていない経済指標でも結果によっては大きく変動する可能性がありそうですので、以下のようなサイトで情報を入手しておきましょう。
経済メディアではインフレの落ち着く時期やFRB利下げ転換時期等について、経済学者などの著名人がもっともらしい見解を述べています。しかし、こうした経済のプロフェッショナルでさえ、未来がどうなるのかは誰にも分かりません。
こうした著名人の発言を鵜呑みにして、トレードを実行してしまう方が多いのですが、私はおすすめしません。
少し極端な表現ですが、投資の世界で最終的に信じられるのは自分だけです。この世界で長く生き残るためには、自分で相場の動向をいち早く察知して、その流れに付いていくことしかないと思っています。そして、そのためにはテクニカル分析と適度な情報収集を継続的に行う必要があります。
テクニカル分析の方法については、このブログで定期的にお伝えしていきますので、共感いただける方は、ぜひ一緒にやっていきましょう。
日米長期金利差とドル円の相関性
次に、参考程度ですが日米長期金利差とドル円の相関性を見ていきます。以下のチャートをご覧ください。
直近20日間の日米金利差とドル円のCC(相関係数)は"-0.15"ということで相関性は、あまりないようです。
現在、市場の注目は米長期金利の行方に集まっていますが、日々の報道を鵜呑みにせず、自分でも定期的にチャートをチェックして客観的に評価していくようにしましょう。
ちなみに、日米金利差は昨年10月ごろの初旬のピーク時に比べて、だいぶ低下してきましたね。
FRB利下げ予想時期
最新の市場参加者のFRB利下げ予想時期は、CMEのFedWatchツールによると、9月FOMCが"100%"を維持しています。利下げ幅は0.25%が優勢で"76%"となっています。
なお、12月時点での米長期金利は、4.5〜4.75%と予想している参加者が42.8%から35.7%に低下し、4.25〜4.5%と予想している参加者が42.5%から44.1%に上昇しています。
以上で、ファンダメンタル観点での状況把握ができましたね。今週のファンダメンタル要素が、現在のドル円相場にどのような影響を及ぼしているのか。その辺りは、次章からのテクニカル分析を通してみてみましょう。
FXで利益を上げたいなら、投資先の経済や政治に関する情勢を理解することが重要。経済ニュース等から情報収集し、自分なりの解釈を記録していきましょう。「円売りが当面続く」といった簡単な記録でも構いません。
ただ、経済情報は無数にありますので、収集しすぎれば良いというものでもなく、長期間継続することが大事ですので、ご自身の負担にならない程度に続けてみてください。
私たち個人投資家は、生活を豊かにするための"資産"が欲しいのであって、"経済のプロ"になりたいわけではないという方が大半かと思いますので、大まかな状況が分かれば十分です。
STEP2:今週の相場予想とトレード戦略の評価
さて、ファンダメンタル観点で状況を押さえた後はテクニカル観点で相場を捉えていきましょう。
まずは、今週の相場予想とトレード戦略を振り返りたいと思います。
今週は予想レンジを「142.2円〜149.3円」に設定、目線は中立としました。そして、直近の具体的な注目ポイントは、円安方向が短期・中期P&Fレジスタンス「149.2-3円付近」、円高方向が短期・中期P&Fサポート「144.2-3円付近」を挙げていましたね。
結果としては、先週の反発ムードから一転して、再び円高優勢の展開になりました。また、NY終値基準で週足100MAをわずかながら下抜けてきておりますので、来週の展開に注目です。
なお、日々の具体的なトレード戦略は値動きに合わせて調整を行っています。日々のトレード戦略は当ブログで毎日公開していますので、よろしければ毎朝ご覧ください。
では、来週のドル円相場予想とトレード戦略を考えていきましょう。私の場合は、"P&F(ポイント&フィギュア)"を主軸テクニカルに使用しています。現在のボラリティ状況から、長期は「1枠50銭」、中期は「1枠20銭」、短期は「1枠:10銭」を採用しています。
それでは長期チャートから順番に見ていきましょう。
STEP3:テクニカル観点での長期トレンド分析
P&F0.5チャートは、今週の値動きにより○枠の折り返し列が形成され、レジスタンス位置が更新されていますが、シグナル点灯待ちの状況に変わりません。
シグナル点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|
なし | ー | 149.0~4円 | 144.5~9円 |
STEP4:テクニカル観点での中期トレンド分析
P&F0.2チャートは、今週の値動きにより水平カウンティングによる円高シグナルが点灯しました。円高目標値は142.4~5円付近です。
シグナル点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|
円高 | 142.4~5円 | 146.2~3円 | ー |
STEP5:テクニカル観点での短期トレンド分析
今週P&F0.1チャートは、今週の値動きにより垂直カウンティングによる円高シグナルが点灯しました。円高目標値は142.3円付近です。
シグナル点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|
なし | ー | 146.2円 | ー |
- テクニカル分析は、長期から短期の順に進めていくことをおすすめします。
- 短期トレンドに対しては順張りでも、長期トレンドに対しては逆張りという場面が多々あります。
短期・中期・長期の全てが同じトレンドであった場合は強気、逆行している場合には弱気とするなど、
状況に合わせてポジション量をコントロールすることが大切です。 - 複数のテクニカル指標を用いて分析する場合、それぞれのテクニカル分析結果の方向が分かれた際の方針を決めておくとトレードが安定するのでおすすめです。
私の場合、トレードは主軸とするテクニカルに従うこととし、方向性の分かれ具合に応じて取引量を調整することにしています。
週初時点のP&Fまとめ
チャート | シグナル | 目標値 | レジスタンス | サポート |
---|---|---|---|---|
長期P&F | なし | ー | 149.0~4円 | 144.5~9円 |
中期P&F | 円高 | 142.4~5円 | 146.2~3円 | ー |
短期P&F | なし | ー | 146.2円 | ー |
STEP6:トレード方針の決定
来週のトレード方針
今週は短期チャートで垂直Cによる円高シグナルが、中期チャートでは水平Cによる円高シグナルが点灯しました。よって、現在のP&Fの状況からは、この先しばらくは円買い優勢の展開となることが想定されます。
よって、来週の予想レンジは「142.3円〜146.3円」とし、目線は円高とします。直近の具体的な注目ポイントは、円安方向が短期・中期P&Fレジスタンス「146.2-3円付近」、円高方向が短期・中期P&F円高目標値「142.3-5円付近」です。
トレードに関しては、短期・中期チャートのシグナルに従って、145.3円から146.3円付近まで段階的に売りポジションを構築していきたいと思います。
以上、私の来週のドル円相場予想&トレード戦略構築でしたが、みなさんも来週のトレード戦略を立てられましたか?
P&Fチャートは初心者の方でも利確位置や損切り位置が明確に決めることができるので、個人的にはとてもおすすめのチャートです。ここまでご覧いただいて「もっとP&Fを勉強したい」と思っていただけた方は、以下の記事でP&Fチャートの詳細を解説していますので、よろしければご覧ください。
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統計上、抵抗線を抜けた場合、逆方向の抵抗線になる可能性が高いです。
つまり、損切りをしないということは、損失拡大につながる可能性が高いというわけです。抵抗線を抜けた際には躊躇なく損切りしましょう。
さいごに
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以降は毎週同じことを書いていますが、本当に大事なことなのでブログでも書きます。
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記録はノートでも何でも構いません。
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