この記事では、2004年から21年間一度も退場することなく勝ち抜いてきた兼業トレーダーである私が、"ドル円"を題材にP&FチャートによるFXの分析方法やリスク管理、実トレードに臨む際の考え方などを紹介しています。
FXで中長期的に利益を出すにはどうしたらいいのかとお悩みの方に、少しでも参考にしていただけたら幸いです。
それでは、今週も週末にしっかりと振り返りをしてトレードスキルを向上させましょう。
- P&Fを主軸としたテクニカル分析を通して、損切りと利確の基準が分かるようになる。
- FXとちょうどいい距離感で生活できるようになる。
- FXで成功している人の相場との向き合い方を知ることができる。
私が実践している戦略構築ステップは、こちらの記事で紹介していますので、初めての方はぜひ一度ご覧ください。

STEP1:ファンダメンタル観点での分析
それでは、ドル円の「週間相場予想&トレード戦略構築」を一緒にやっていきましょう。
STEP1は、ファンダメンタル関連の情報をチェックして、マーケット状況や投資家の注目トピックなどを把握します。
今週の注目経済指標&イベント結果
12/16_米11月失業率、黒人と10代が急上昇 雇用悪化の前兆

米労働省が16日発表した11月の雇用統計で、黒人とティーンエイジャー(16-19歳)の階層の失業率が急上昇した。経済が軟化する際に最も影響を受けやすい層とされるだけに、エコノミストの間で警戒感が広がっている。
黒人の失業率は8.3%で9月の7.5%を大きく上回り、2021年8月以来の高水準だった。ティーンエイジャーの失業率も9月の13.2%から16.3%に跳ね上がって、20年8月以来の高さになった。
10月の数字は連邦政府閉鎖によりデータ集計ができなかった。
コメリカ・バンクのチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏は「(全体の)失業率も21年以来の高水準だったが、黒人とティーンエイジャーの失業率はそれよりもっと上がっている。いずれの失業率も広範な労働市場を見通す上で先行指標となる傾向がある就労者グループだ」と指摘した。
黒人のティーンエイジャーの失業率は30.7%とコロナ禍初期の20年5月以来、黒人男性の失業率は7.5%で21年9月以来の水準。一方黒人女性は7.1%で6月以来の低下だった。
ロイター
12/18_米11月CPI、前年比2.7%上昇 セールで伸び鈍化も関税懸念残る

米労働省の労働統計局(BLS)が18日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は、前年比2.7%で、市場予想を下回った。ロイターが調査したエコノミスト予想は3.1%上昇だった。
ただ、この伸び鈍化は技術的な要因によるものとみられ、引き続き輸入関税が一因とされる価格高騰が懸念される。
43日間にわたる政府閉鎖により10月のデータが収集できなかったため、前月比は公表されなかった。10月のCPI発表も中止された。
9月は前年比3.0%上昇だった。
11月CPIの上昇率が予想を下回ったのは、データ収集が、年末商戦のセール時期に当たる月末まで遅れたことが原因とみられる。エコノミストは12月に上昇率が加速すると予想している。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比2.6%上昇した。9月は3.0%上昇だった。
フィッチ・レーティングスの米国経済調査責任者オルー・ソノラ氏は、「政府閉鎖中のデータ収集の欠落は、無視しがたい懐疑的な見方をもたらす。インフレ率をより明確に読み取るには、来月まで待つ必要がある」と指摘した。
ロイター
12/19_全国コアCPI、11月は+3%で伸び横ばい エネルギー上昇も食品鈍化

総務省が19日に発表した11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、コアCPI)は、前年比3.0%上昇した。伸び率は前月から変わらず。エネルギー価格が上昇率を拡大する一方、生鮮食品を除く食料は伸びが鈍化した。ロイターが集計した民間調査機関の予測中央値に一致した。
エネルギー価格は前年比2.5%上昇で、前月の2.1%上昇から伸びが加速した。電気代が4.9%上昇と、前月の3.5%上昇を上回ったことが主因。政府の電気・ガス料金負担軽減策がいったん終了し、同措置に伴う押し下げがなくなった。一方、ガソリン代は0.9%下落と、前月の前年比変わらずから下落に転じた。ガソリン暫定税率の廃止に向け、政府の補助金が段階的に拡充されている影響が出た。
生鮮食品を除く食料は7.0%上昇(前月7.2%上昇)で、4カ月連続で伸び率が縮小した。
コメ類は37.1%上昇と、前月の40.2%上昇を下回った。新米の高値取引を背景にコメ類の価格は上昇はしているものの、前年の伸びの方が大きかったこともあり上昇幅は前月から縮小した。
ロイター
12/19_日銀が利上げ決定、政策金利は30年ぶり高水準に 賃上げ継続を確認

日銀は18、19日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.75%に引き上げることを全員一致で決めた。利上げは1月以来。政策金利は1995年9月以来、30年ぶりの高水準となった。企業への聞き取りなどを踏まえ、賃金と物価がともに緩やかに上昇していくメカニズムが維持される可能性が高いと判断、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度は高まっているとした。
日銀は現在の実質金利は「極めて低い水準にある」とし、経済・物価見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針を示した。
米国経済の下振れリスクが後退し、日銀が描く経済・物価見通しが実現する確度が高まる中、植田和男総裁が1日の名古屋での講演で、春闘に向けた「初動のモメンタム」などを確認した上で、利上げの是非を「適切に判断したい」と述べたことで、市場で12月会合での利上げ決定の可能性が急速に織り込まれていた。
ロイター
来週の主な注目経済指標&イベント
| 日付 | 時間 | 経済指標・イベント |
|---|---|---|
| 12/23(火) | 22:30 | (米)7-9月期四半期実質国内総生産(GDP、速報値)(前期比年率) |
| 12/24(水) | 08:50 | (日)日銀・金融政策決定会合議事要旨 |
上の表には載せていない経済指標でも結果次第では大きく変動する可能性がありますので、経済指標や経済イベントを重視したい方は、FX会社や証券会社のサイトで情報を入手しておきましょう。私は外為どっとコムのサイトを愛用しています。

経済メディアではインフレの落ち着く時期やFRB利下げ転換時期等について、経済学者などの著名人がもっともらしい見解を述べています。しかし、こうした経済のプロフェッショナルでさえ、未来がどうなるのかは誰にも分かりません。
こうした著名人の発言を鵜呑みにして、トレードを実行してしまう方が多いのですが、私はおすすめしません。
少し極端な表現ですが、投資の世界で最終的に信じられるのは自分だけです。この世界で長く生き残るためには、自分で相場の動向をいち早く察知して、その流れに付いていくことしかないと思っています。そして、そのためにはテクニカル分析と適度な情報収集を継続的に行う必要があります。
テクニカル分析の方法については、このブログで定期的にお伝えしていきますので、共感いただける方は、ぜひ一緒にやっていきましょう。
本日の相場概況把握「米長期金利関連情報」
本題のドル円に入る前に、米長期金利に関連する情報の概況を押さえていきましょう。
米長期金利チャート
日米長期金利差とドル円の相関性
直近20日間の日米金利差とドル円のCC(相関係数)は"-0.10"と、やや逆相関の関係になっているようです。視覚的には強い逆相関のように感じますが・・・
FRB利下げ予想時期
CMEのFedWatchツールによると、次回1月のFOMCでは据え置き予想が77.9%と高く、次々回3月のFOMCでの据え置き予想は44.2%と約半数になっています。


以上で、ファンダメンタル観点での状況把握ができました。今週のファンダメンタル要素が現在のドル円相場にどのような影響を及ぼしているのか。その辺りは、次章からのテクニカル分析を通してみてみましょう。
FXで利益を上げたいなら、投資先の経済や政治に関する情勢を理解することが重要。経済ニュース等から情報収集し、自分なりの解釈を記録していきましょう。「円売りが当面続く」といった簡単な記録でも構いません。
ただ、経済情報は無数にありますので、収集しすぎれば良いというものでもなく、長期間継続することが大事ですので、ご自身の負担にならない程度に続けてみてください。
私たち個人投資家は、生活を豊かにするための"資産"が欲しいのであって、"経済のプロ"になりたいわけではないという方が大半かと思いますので、大まかな状況が分かれば十分です。
STEP2:今週の相場予想とトレード戦略の評価
さて、ファンダメンタル観点で状況を押さえた後は、テクニカル観点で相場を捉えていきましょう。
まずは、今週の相場予想とトレード戦略を振り返りです。
今週は予想レンジを「155.1円〜156.9円」に設定、週明け時点の目線は横ばい(レンジ)とし、具体的な注目ポイントとしては、下表の通りとしていましたね。
| レート | 根拠 |
|---|---|
| 156.8-9 | 中期P&Fレジスタンス |
| 156.8 | 短期P&Fレジスタンス |
| レート | 根拠 |
|---|---|
| 155.2-3 | 中期P&Fサポート |
| 155.1 | 短期P&Fサポート |
| 153.0-4 | 長期P&F前回レジスタンス |
| 150.5-9 | 長期P&Fサポート |
トレード戦略評価
結果としては、16日に短期チャートと中期チャートで円高シグナルが点灯し、中期チャートのシグナルを根拠に売りトレードを行っていましたが、19日の日銀会合結果発表後の円安の流れにより、逆指値にかかってしまいました。
なお、日々の具体的なトレード戦略は値動きに合わせて調整を行っています。日々のトレード戦略は当ブログで毎日公開していますので、よろしければ毎朝ご覧ください。
では、来週のドル円相場予想とトレード戦略を考えていきましょう。私の場合は、"P&F(ポイント&フィギュア)"を主軸テクニカルに使用しています。現在のドル円のボラティリティー状況から、長期は「1枠50銭」、中期は「1枠20銭」、短期は「1枠:10銭」を採用しています。ただ、短期チャートは最近のボラティリティーには、若干合っていない状況が続いています。
それでは長期チャートから順番に見ていきましょう。
STEP3:テクニカル観点での長期トレンド分析
P&F0.5チャートは、今週の値動きによりレジスタンスを上抜けてきましたので、円安シグナルが点灯しています。目標値は161.5円付近です。
| シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
|---|---|---|---|---|
| 水平 | 円安 | 161.5-9 | ー | 155.0-4 |
| 垂直 | なし | ー |
STEP4:テクニカル観点での中期トレンド分析
P&F0.2チャートは、16日に円高シグナルが点灯していましたが、19日の日銀会合結果公表後の円安展開により、レジスタンスを上抜けてきました。これにより円安シグナルに転換しています。
| シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
|---|---|---|---|---|
| 水平 | 円安 | 159.2-3 | ー | 154.8-9 |
| 垂直 | なし | ー |
STEP5:テクニカル観点での短期トレンド分析
P&F0.1チャートは、16日に円高シグナルが点灯していましたが、19日の日銀会合結果公表後の円安展開により、レジスタンスを上抜けてきました。これにより円安シグナルに転換したのですが、同日中に目標値到達となっています。よって、最新の状況としては次回シグナル点灯待ちの状況です。
| シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
|---|---|---|---|---|
| 水平 | 円安目標値到達 | 157.7 | ー | 154.7 |
| 垂直 | なし | ー |
- テクニカル分析は、長期から短期の順に進めていくことをおすすめします。
- 短期トレンドに対しては順張りでも、長期トレンドに対しては逆張りという場面が多々あります。
短期・中期・長期の全てが同じトレンドであった場合は強気、逆行している場合には弱気とするなど、
状況に合わせてポジション量をコントロールすることが大切です。 - 複数のテクニカル指標を用いて分析する場合、それぞれのテクニカル分析結果の方向が分かれた際の方針を決めておくとトレードが安定するのでおすすめです。
私の場合、トレードは主軸とするテクニカルに従うこととし、方向性の分かれ具合に応じて取引量を調整することにしています。
週初時点のP&Fまとめ
| チャート | シグナル | 点灯状況 | 目標値 | レジスタンス | サポート |
|---|---|---|---|---|---|
| 長期P&F | 水平 | 円安 | 161.5-9 | ー | 155.0-4 |
| 垂直 | なし | ー | |||
| 中期P&F | 水平 | 円安 | 159.2-3 | ー | 154.8-9 |
| 垂直 | なし | ー | |||
| 短期P&F | 水平 | 円安目標値到達 | 157.7 | ー | 154.7 |
| 垂直 | なし | ー |
STEP6:トレード方針の決定
来週のトレード方針
週初時点では、長期チャートと中期チャートで円安シグナルが点灯していますので、来週の目線は円安方向にしようと思います。
週明け時点の具体的な注目レートは下表の通りです。
| レート | 根拠 |
|---|---|
| 161.5-9 | 長期P&F円安目標値 |
| 159.2-3 | 中期P&F円安目標値 |
| レート | 根拠 |
|---|---|
| 157.0-4 | 長期P&F前回レジスタンス |
| 156.8-9 | 中期P&F前回レジスタンス |
| 156.8 | 短期P&F前回レジスタンス |
| 155.0-4 | 長期P&Fサポート |
| 154.8-9 | 中期P&Fサポート |
| 154.7 | 短期P&Fサポート |
なお、トレード検証に関しては、検証ルールに従って中期チャートと長期チャートのシグナル点灯位置を基準に買い指値を行います。
以上、私の来週のドル円相場予想&トレード戦略構築でしたが、みなさんも来週のトレード戦略を立てられましたか?
P&Fチャートは初心者の方でも利確位置や損切り位置が明確に決めることができるので、個人的にはとてもおすすめのチャートです。ここまでご覧いただいて「もっとP&Fを勉強したい」と思っていただけた方は、以下の記事でP&Fチャートの詳細を解説していますので、よろしければご覧ください。
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FX指値1本勝負!
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