FXや株式投資を行うにあたり、みなさんはどんなテクニカル指標を使用していますか?
日本では移動平均線やMACD、ボリンジャーバンドなどが有名ですが、本記事では私が長年愛用しいている「ポイントアンドフィギュア(P&F)」について、紹介したいと思います。
ポイントアンドフィギュアの特徴
みなさんがよくご存知のテクニカル「移動平均線やMACD、ボリンジャーバンド」等では、値動きがなくても新しいラインが描かれますよね。時系列チャートというカテゴリに分類されます。
対して、P&Fは非時系列チャートというカテゴリに分類されるテクニカル指標です。その名のとおり、“時間”の概念を除いている点が最大の特徴です。簡単にいうと値動きがなければチャート形状は変化しないということです。イメージは以下の通りです。
チャート作成方法
テクニカルを理解するためには、自分で作るのが理想的と考えております。今では記事作成の時間捻出のため、後述のツールを利用していますが、私は15年間以下のステップでチャートを作成していました。
基本の3ステップ
それでは、ポイントアンドフィギュアの作り方を解説していきます。初めはとっつきにくいかもしれませんが以下の3ステップのみで作成できます。慣れてしまえば簡単ですので一緒にやっていきましょう。
ポイントアンドフィギュアは、あらかじめ決めた値幅以上の値動きがあったときにチャートを記入します。ですから、まずは値幅を決めることが必要です。また、転換枠は3枠がメジャーです。
STEP1で決めた値幅以上の値動きがあった場合に○や×を記入していきます。上昇時が×、下降時が○とすることが一般的です。色は任意です。
転換枠以上の反対方向への値動きがあった場合、右に列を移動して記入します。
実戦してみよう
"日"基準にした場合のP&Fを以下の値動きを例にして作成してみます。なお、以下の例では小数点2位以下を切り捨てとしますが、決めの問題です。四捨五入して記録する方法もあります。
日付 | レート | 値動き |
---|---|---|
1日目 | 100.00円 | ー |
2日目 | 100.50円 | 0.5円 |
3日目 | 100.53円 | 0.03円 |
4日目 | 100.62円 | 0.09円 |
5日目 | 100.31円 | -0.31円 |
6日目 | 100.26円 | -0.05円 |
7日目 | 100.47円 | 0.21円 |
8日目 | 100.54円 | 0.07円 |
9日目 | 100.12円 | -0.42円 |
「値幅:10銭(10pips)、転換枠:3、小数点2位以下切り捨て」の場合
日付 | レート | 値動き |
---|---|---|
1日目 | 100.00円 | ー |
日付 | レート | 値動き | 解説 |
---|---|---|---|
2日目 | 100.50円 | 0.5円 | 上方向に×を5枠追加 |
日付 | レート | 値動き | 解説 |
---|---|---|---|
3日目 | 100.53円 | 0.03円 | 同方向0.1銭以下の値動きのため、×の追加なし |
日付 | レート | 値動き | 解説 |
---|---|---|---|
4日目 | 100.62円 | 0.09円 | 上方向に×を1枠追加 |
日付 | レート | 値動き | 解説 |
---|---|---|---|
5日目 | 100.31円 | -0.31円 | 反対方向に転換枠以上の値動きあり。 下方向に◯を3枠追加 |
日付 | レート | 値動き | 解説 |
---|---|---|---|
6日目 | 100.26円 | -0.05円 | 小数点2位以下切り捨てで100.2円。 下方向に◯を1枠追加 |
日付 | レート | 値動き | 解説 |
---|---|---|---|
7日目 | 100.47円 | 0.21円 | 反対方向への値動きですが、転換枠(3枠)以下の値動きのため、×の記録なし |
日付 | レート | 値動き | 解説 |
---|---|---|---|
8日目 | 100.54円 | 0.07円 | 6日目を基準にすると反対方向に転換枠以上の値動きあり。 上方向に×を3枠追加 |
日付 | レート | 値動き | 解説 |
---|---|---|---|
9日目 | 100.12円 | -0.42円 | 反対方向に転換枠以上の値動きあり。 下方向に○を4枠追加 |
このような感じでチャートを記録していきます。お分かりいただけましたでしょうか。自作チャートでは×は赤、○は青としていますが、特に意味はありませんのでお好きな色で構いません。ちなみにTradingViewチャートのデフォルト設定では×は緑、○は赤となっています。
ツール紹介
P&Fチャートは前述の通り、エクセルなどで誰でも簡単にチャートを作成することができます。また、上級者の方であればマクロを組むことも可能です。ただ、これを毎日続けるとなると・・・相応の努力と根性が必要です。祝日はもちろんのこと、体調が悪い日でも夜勤明けの日でも為替相場はこちらの都合などお構いなしですからね(笑)
私はエクセルで15年間チャートを記録していましたが、何度も挫けそうになりました。どうしても作成できない日は後追いで作ったりしていました。
また、人間なのでどうしても間違いが起きやすいです。現在はP&Fを作成可能なツールも出ていますので、テクニカルの基本的概念を理解できてさえいれば、ツールの使用するのも良いと思います。作成時間の短縮や正確性が向上しますからね。
TradingView
TradingViewは、ここ数年で一気に頭角を現したチャートツールです。一般的なローソク足チャートの表示用に既に使用されている方も多いのではないでしょうか。
実はTradingViewであれば無料プランでもP&Fチャートが作成可能です。ただし、一定の制約はあります。
そして、有料プランにアップグレードすると、プランに応じて制約が緩和されていきます。まずは無料プランを利用してみて、制約を解除したくなったら30日間の無料試用期間を利用するのが良いのではないかと思います。なお、私は最上位のPremiumプラン($599.40 / 年)を契約して利用していますが、本当に快適です。TradingViewを利用するようになってからは、他のチャートツールには戻れなくなりました。
GMOクリック証券「プラチナチャート」
GMOクリック証券の取引ツール「プラチナチャート」なら、口座開設者であれば誰でも無料でP&Fチャートを作成可能です。チャートのパラメーターに関しては、1枠あたりの値幅と〇×印の色を設定できます。
プラチナチャートなら、トレード注文、ニュースや経済カレンダーのチェックなど総合的に活用できる点がおすすめです。
パターン分析
パターン分析にはいくつか種類がありますが、まずは代表的なひとつを紹介します。
ダブル・トップ・ダブル・ボトム
前回高値を上抜けた時のことをダブル・トップ、逆に前回安値を下抜けた時のことをダブル・ボトムといいます。ダブル・トップは買いシグナル、ダブルボトムは売りシグナルと考えます。
前章で作成したチャートでは、9日目につけた100.1円の○マークが6日目の100.2円の○マークを下回っているので、ダブル・ボトムを付けている。つまり、売りシグナルが出たと考えることができます。
上記のチャートのように1枠しか抜けていない場合、騙しの可能性も高くなります。1pipsの差でも1枠ずれることがあるからですね。上記のケースで6日目100.20円/9日目が100.19円だった場合、1pips差にもかかわらず1枠の差が生じてしまいます。
わずか1pipsの差で売りトレンド発生と判断できる???もし1秒ずれていたら100.20円だったかもしれないのに???
実戦では、その辺りを勘案していく必要があります。
カウンティング分析
カウンティング分析は到達目標を算出する時に使います。垂直カウンティングと水平カウンティングの2種類がありますが、まずは多く利用されている水平カウンティングを紹介します。
水平カウンティング
水平カウンティングというのはレンジ相場を離れた時の相場のエネルギー(どれくらい動く可能性があるのか?)を計算するものです。相場エネルギーは"×列と○列が並んでいる列数"×"値幅"×"転換枠"で求めます。
例えば、前章で作成したチャートの場合、×列と○列が並んでいる列数が"4列"ありますね。
ですので、相場エネルギーは「列数4列×値幅10pips×転換枠3」で120pipsと求めることが出来ます。この相場エネルギーをもとに到達目標値を算出するわけですが、いくつか考え方があります。
私が知る限り最もメジャーなのは売りの場合は保ち合い(〇×密集範囲)の一番上の高値を基準にして相場エネルギー値を引く、買いの場合は保ち合いの安値を基準して相場エネルギー値を足す方法です。例えば、前章で作成したチャートでは"売り"ですので、下図のように99.4円付近まで円高が進むと考えられるわけです。
ただ、私はこのやり方ではなくシグナル点灯位置を基準に算出しています。理由は前者と比較して勝率は下がりますが、利益確定に至った際の利益が増える分リスクリワードの調整がしやすい場面が多いと感じたからです。この場合は99.0円まで円高が進むと考えられるわけです。
到達目標はあくまで目安です。いつもピッタリ予想的中するというものではありません。そのため、実戦では例えば99.4円〜99.0円にかけて利確する等、幅を持たせるアイデアがおすすめです。
垂直カウンティング
垂直カウンティングというのは、シグナルが点灯する直近の値幅(安値〜高値の枠数)分だけ、シグナルが点灯した列にも同じ値幅が生じると期待する考え方です。具体的には以下の通りとなります。
以下は、あくまで私の主観ですが、垂直カウンティングは水平カウンティングよりも勝率は低いものの、リスクリワードが良い状況で取引できることが多く、大きな相場変動と重なった場合には大きく利益が上げられる印象があります。
これは投資全般に言えることですが、この世界に絶対的な正解というものはありません。細かい色々な成功や失敗経験と通して自分なりのルールを確立していってください。
相場エネルギーは"×列と○列が並んでいる列数"×"値幅"×"転換枠"で求めます。つまり、レンジ相場が長ければ長いほど、相場を動かすためのエネルギーが溜まっていて、抜けた方向に大きく動くと可能性があるという考え方です。
よくある質問
- 1枠の値幅を決める基準はありますか?
-
ドル円の場合には10pipsがちょうど良いと思いますが、相場のボラティリティに合わせて調整する必要があります。2022年はボラティリティの高い状況が続いていますので20pipsがマッチしているかもしれません。
慣れてきたら複数の値幅でチャートを作成して、長期・中期といった分析対象の時間幅に合わせて使い分けるのもおすすめです。(例:長期50pips、中期20pips、短期10pips)
コメント